海外放浪記 8)
これまでの海外旅行や海外出張を古い順に並べてみた。なお、前回は次の通り。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/04/7.html 8)フランス、パリ。おそらく、1998年8月。ドイツからイスラエルに移動してからどのように過ごしたのか全く覚えてない。フランスのグルノーブルで開催される研究集会に参加することが目的だ。その開催日の前日にパリに着いて電車に乗ればいいと思っていたが、飛行機の到着が遅れて、空港から中心地までのバスも予想より遅れて、その中心地からグルノーブルヘ向かう特急の始発駅であるリオン駅まで距離がある、という誤算が重なり、俺は午後11時に電車にも乗れず、予約しているホテルもない窮地に追い込まれた。そういう時の俺は「ホテルを探すことができたとしても朝5時には出発しなきゃいけない。ホテル代も払わなきゃいけない。お金がもったいないなあ」と思うのが常だった。シャンゼリゼ通りには若い男女が今にも踊り出さんばかりの勢いで繰り出していた。白人男性の肩に腕を回す積極的な日本女性もいた。彼女だけでなくあらゆる人種をありのままに受け入れる寛容さがパリにはあった。その光景に背中を押された。俺はリオン駅までの道のりを観光しながら夜通し歩くことを決めた。セーヌ川沿い建造物はライトアップされていて美しい。というより、都市全体が名所で覆い尽くされている感じだ。途中、車に箱乗りしている集団から声をかけられた。スーツケースを持って夜道を歩くなんて今では考えられない愚かな行為なのだが、当時は怖いもの知らずだった。予定より早くリオン駅に着いた。さすがに疲れていたので、近くのハンバーガーチェーン店に入り夜明けを待った。フランスはどこに行っても飯が美味かった。デザート以外に砂糖を使わないのも俺の好みに合っていた。