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柔術対決

 柔術の世界大会で俳優の玉木宏が3位入賞したらしい。 https://news.yahoo.co.jp/articles/0f3c026b3dc0d6f39643008780e54979073d222d 上記の記事を見ると、紫帯フェザーで46--50歳のクラスでの3位入賞で、世界で3番目に強いわけではないことがわかる。しかし、有名な俳優が練習時間を割いて目に見える成果を上げたという事実は柔術の普及に多大な貢献をしていると思われる。 特筆すべきは柔術の安全性だ。基本的に寝技の攻防で終始するので、瞬間的に筋肉を動かすことがないし、柔道の立ち技のように落下時の事故もないし、中年でも上達が見込まれる。唯一の懸念材料は足関節技で、一瞬で靱帯や関節に深刻なダメージを被ることもあるが、それは黒帯同士以外では禁じ手とされている。 ここで提案したいのが、上記の記事で紹介されている玉木宏と岡田准一との対戦だ。岡田はNHKの「明鏡止水」という格闘技や古武術を紹介する番組の司会をしていて、プロ顔負けのコメントをすることで知られていて、柔術の腕前も相当強いと聞いている。人気者二人が1ヶ月の準備期間を設けて番組内で対戦すれば、マスコミやSNSで話題になり、柔術の普及に繋がること相違ない。 NHK関係者の方々、どうかこの企画を実現させてください。

後悔、先に立たず

以下の昨日の投稿に書き足したいことがある。  https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/08/blog-post_17.html 俺は運動音痴だ。言われたことの本質がわからず安易な方法でその場を切り抜けようとするものだから上達が遅れる。後になって「あのときこうしておけばよかった」と後悔することが少なくない。俺は高校の部活で柔道をしていた。その当時は祖母の「草むしりするときでも一生懸命しなさい」という教えに従い必死で練習に喰らいついていたが、現在の頭脳で考えたときの「やり方や意識を変えたらもっと強くなれたのに」という反省が先に立つ。以下はその列挙だ。 1)当時の体重は55kg、男子の最軽量の階級である60kg以下まで5kgも余裕がある。食欲旺盛で部内でも筋トレブームが起こったが、俺の体重は3年生の高総体時でも57kgだった。その当時は「食べて筋トレしても太らない体質なんだ」と諦めていた。当時の俺には栄養と増量の知識が欠けていた。のみならず「どの筋肉を鍛えて柔道力に転換するか」という目的意識が全くなかった。例えば、「柔道では引く力が重要だ」「その筋肉は肩回りに集中している」「それらを鍛えるには懸垂や綱登りが有効」「一週間の達成回数目標を設定」「筋トレ後はたんぱく質を摂取」「育成中の筋肉を目視や触診で確認」「実際に乱取りで活用できているかを検証」のように目的から逆算して自分自身が納得するメニューを考えたら能動的に取り組めたはずだ。 2)打ち込みとは投げる前の動作のことで、柔道力の基本でもある。入部当初は形ばかりで投げることができなかったが、一年間の試行錯誤の末に自分の型が定まり、相手が抵抗しなければ投げれるようになった。実力者と呼ばれる人の打ち込みを受けると、投げる瞬間に全身が連動して「すごい勢いであっという間に投げられそうだ」と感じるものだ。当時の俺は打ち込みを「日々進化させていくものだ」とは露ほども思っていなかった。そういう意識を持って足技や打ち込みの練習に取り組めばよかったと後悔している。サッカーのインサイドキックの練習のように突き詰めれば高度な技術が集積しているのが打ち込みを始めとする基本練習だ。準備運動くらいに思っていた自分はやはりセンスがないのだろう。 3)個人の考えでどうしようもないことだが、部活を毎日やるのは非効...

水の味

 強い相手と組み合うと精神的にも肉体的にも疲れる。柔道の話だ。先ず、どんな技をかけてくるかの予測ができない。そうすると相手の細かな動作に過敏に反応してしまう。例えば、奥襟を取られたら投げを警戒して全身に余分な力が入り結局は投げられる。そういう時に投げられたら楽なのだが、普段の練習では意図的に攻めさせる相手がいる。そうすると弱者は闇雲に攻め続けることになる。かからないと自覚している技を延々と挑むのは心身が疲弊する作業だ。逆に自分より弱い相手と組み合うと柔道の基本である脱力が自然に達成され、硬直している相手がよく見えるし、技をかけて投げることも攻めさせて休むことも自由自在だ。これは柔道に限らず格闘技全般において強者は楽しく弱者は苦しいというのは真理だと思われる。 大村高校柔道部に入部した時、俺は全くの初心者で、体重55kgの部内最軽量だった。練習は月火水木金土日、まごうことなき毎日実施された。当時の大村高校は朝補習があった。午前6時半に起床、身支度をして約5kmの道のりを自転車で通い、午後3時40分まで授業を聴いて、4時半から6時半まで部活、帰宅するのは7時半、夕食を食べて風呂に入ったら9時半、その当時は課題を解いて来ないと花瓶や堅い枝の指揮棒で頭を叩く教員がいて、その恐怖から宿題をやって就寝するのは12時前後、三大欲求を全て満たそうとするなら睡眠時間が更に削られる。その削られた睡眠時間は授業中に補填される。そんな生活が月曜から金曜まで続き、土曜は半日授業で、午後から部活、夏の暑い中、疲労が蓄積する土曜に普段より長い時間練習するのは大きな負担だった。 格技場は畳が敷かれた柔道場と床のみの剣道場に二分されていた。その面積はほぼ同等でも部活の時間の人工密度には明らかな差があった。大村は剣道が盛んな地域で至る所に剣道教室が開設されていた。その当時の剣道部は男女合わせて40人近い部員がいて、数名の女子マネージャーがいた。剣道場は部員でごった返しているので女子マネたちはスカスカの柔道場の板張りに腰掛けていた。その当時でも「練習中に水を飲むな」と指導されているわけではなく、飲みたいときに飲んでいいことになっていた。しかし、水を飲むと気持ちが弛緩するような気がして乱取りの途中に水分補給することはなかった。部員総当たりの立ち技の乱取りが終わると寝技の乱取りが待っている。その境目...

大相撲名古屋場所千秋楽

 大相撲名古屋場所千秋楽を観戦した。以下はその感想だ。 1)安青錦は相撲が上手い。宇良や翔猿のような意表を突いてアクロバティックな技を決める上手さではなく貴乃花のような正攻法での上手さが光る。同じく相撲が上手い霧島に上手を取られても外掛けで押し出して勝つほど、同じく相撲が上手い豊昇龍に圧倒的勝率を誇るほど、相撲が上手い。相撲一家で育ったわけでもなく、モンゴル相撲で鍛えられたわけでもなく、親方や兄弟子の手ほどきを受けていたわけでもない安青錦がどのようにしてあれほどの技量を獲得できたのか興味深い。低い姿勢を保つのは相撲の基本だが、上から頭を押さえられ前のめりに倒れる危険性と隣り合わせにある。安青錦が上から潰される場面は見たことがない。背筋力が強いからなのか姿勢とバランスが良いからなのか定かではないが、並の力士ではないことは疑いようもない。怪我明けで場所中にも負傷したのにも関わらず、千秋楽まで戦い抜き優勝したのは天晴れというほかない。 2)熱海富士は本割りで安青錦に勝利するも優勝決定の巴戦で安青錦に敗れ、悲願を逃す。しかし、今場所の12勝は大関昇進の基点となる。霧島も両横綱が不調の時期に優勝して横綱昇進したいだろうから来場所が正念場だ。 3)贔屓にしている豊昇龍と平戸海の勝ち星が積み上がらなかったのが残念この上ない。幕内下位や十両にはかつて三役だった力士たちがひしめいている。改めて入れ替わりの激しい世界だなと思う。平戸海にはなんとか踏みとどまってほしい。

週末の過ごし方

 今週末はスポーツビッグイベントが目白押しだった。時系列順に振り返る。 1)マカオで開催されたUFCで朝倉海がKO勝ちでUFC初勝利を飾った。過去2戦は惨敗で「寝技の基本ができてない」とか散々の言われ様だった。今回の下馬評も相手有利で朝倉海にとっては負けたらUFCから解雇という崖っぷちの状態だった。バンタム級に戻したの良いが、パワーで圧倒される懸念があった。試合が始まると、かつて堀口恭二にKO勝ちした時のような積極的で溌剌とした軽快さが見られた。今回のKO勝ちはUFC主催者に大きなインパクトを与えたと思われる。次戦の相手は撃ち合いを避けて組み技で勝負して来るだろうから練習の真価が問われる。 2)アーセナルファンだが、PSG (パリサンジェルマン)とのチャンピオンズリーグ決勝を視聴することが躊躇われた。25時開始でPK戦まで想定したら28時まで眠れない、視聴のためには二千円ほどの出費が必要、アーセナルが優勝した場合、興奮して眠れないかもしれない、そうすると、NBAの試合に集中できない、そして何より、戦力で上回るPSGに引き分け上等のアーセナルを見たくない、からだ。しかし、早寝早起きを推奨している三男が今夜友達の家に泊まり、次男が決勝を見ると言ったことが重なって、気が進まないながらも「アーセナルの優勝を見逃すわけにはいかない」という心理が勝り、次男と一緒に観戦することにした。試合が始まると、次男はスナック菓子を食べて炭酸飲料を飲み始めた。その姿を心の底から羨ましいと思った。アーセナルが先制し、PSGが攻めアーセナルが守る展開が長く続いた。そして同点に追いつかれる。無理攻めをして失点するより守りを固めてPK戦に持ち込む方が得策、そんな声が聞こえて来そうなアーセナルの戦い方だった。PK戦で敗れ、悲願達成とはならなかったが、致し方ないと思う。今シーズンのアーセナルは機能的で良いチームではあったが、他国の強豪を圧倒するすごいチームではなかった。 3)試合開始の午前9時までよく眠れた。それから3時間、NBA西地区決勝ゲーム7を視聴する至福の時間を堪能した。ウェンビーが先制点をバンクショットで決めた。バンクショットが得意だったスパーズのレジェンド選手であるダンカンとウェンビーが重なった。対するサンダーのエースであるSGAは絶好調で、要所で得点を積み上げる。サンダーのもう一人...

大相撲大阪場所二日目

 大相撲大阪場所二日目の中継を視聴した。以下はその感想だ。 1)また有望な若手が現れた。新入幕の藤凌駕のことだ。熊本出身の佐田の海を応援していたが、藤凌駕は速攻相撲であっさり寄り切った。出世が早くてまだ髷が結えないそうだ。十両に陥落した佐田の海の取り組みをテレビで見たいので早く幕内に復帰してほしい。 2)幕内上位の常連だった翔猿が前頭十三枚目だということに驚いた。カモにしていた千代翔馬に負けたのを見ると時代の流れを感じた。 3)寝屋川出身の豪の山は電車道で圧勝した。突き押し相撲が上位に通じず迷った時期を経ての今がある。突き押しを極めてまた上位に挑んでほしい。 4)平戸海は初日に王鵬、二日目に大栄翔を破り二連勝。今場所は三役を期待できそう。 5)義乃富士は安青錦を攻め続けて攻略。怪我なく育てば大関になる器だと見ている。 6)豊昇龍は押し込まれていたが、かろうじて白星を拾ったという感じ。 7)熱海富士と大の里の現役最重量1位2位対決は迫力満点だった。熱海富士は強くなっている。大の里は本調子ではないようだ。 追伸)今日の午後、牧師先生一行が来られて、家族礼拝が取り行われた。ありがたいことである。

いじめ動画

先週から ツイッター(現在のX)のタイムラインに中高生のいじめ暴行動画群が上がるようになった。加害者が被害者を一方的に殴ったり蹴ったりして、加害者の取り巻きが笑みを浮かべながら傍観している動画が多い。撮影者も取り巻きの一人と思われる。 先ず、加害者の視点に立って視聴してみる。総合格闘技で使用される飛び膝蹴りや背後から首を絞める等の攻撃が目についた。攻撃の大半は手加減しているのか技量不足なのか軽いものばかりだった。時折、勢いに任せた蹴りが入ることもあるが、腕のガードの上とか足とかだ。おそらく、加害者は「もし昏倒するような打撃や外傷を与えると親や学校に知られることになる」ということを熟知している。そうであるが故の行動原理で動いているようだ。要するに、弱いものいじめだ。 次に、被害者の視点に立って視聴してみる。下手に反撃したらどんな報復が返ってくるかわからないので、絶望的な表情でひたすらいじめが終わるのを待っている。逃げようにも取り巻きがいるから逃げられない。仮に逃走に成功しても次の日の学校でまたいびられるだろう。そんな逃げ場のない絶望感を経験したSNSユーザーがいじめ動画の拡散を促し、加害者の学校や実名を晒す「私刑」が執行される。 最後に、撮影者の視点に立って視聴してみる。おそらく、その動画は仲間だけが閲覧できるグループラインに投稿される。弱いものいじめの常習である加害者が仲間内で崇拝されているとは思えない。加害者を快く思ってない奴もいるだろう。そういう輩が匿名で公共のネット上に流出させたら、「これはけしからん」と正義感に燃える人がリポストを繰り返し、その動画は拡散の一途を辿る。撮影者はいじめを傍観していた幇助者でもあるのに、その姿は動画には出てこないし、流出させた犯人扱いされることもない。 どの視点で見ても、どんよりとした気分になる動画群だ。そうであるのについつい見てしまう心理は何なんだろう?

大晦日の惨敗

 朝倉未来がラジャブアリシェイドラエフにTKO負けを喫した。背後を取られ、二回三回と投げられ、最後は後ろから鉄拳を浴びてレフリーストップという「どれだけ練習しても一生勝てない」と敗者に思わせるのに十分な惨敗だった。ヤフーニュースのコメントを見ると、 https://news.yahoo.co.jp/articles/8e852bfd8741d8aaa60d6545dc636f10cda9f79d/comments 「所詮はビジネスマン、寝技の練習が足りない。Breaking Down に費やす時間を格闘技に注ぐべき」という意見が多いが、それらに対して「鈴木千裕やクレーベルコイケに勝ったことを無視するのか?」と反論したい。売れっ子の歌手やアイドルはドーム球場を満杯にするほどの集客力を誇るが、格闘技の大会でそれを実現するのは簡単ではない。約30人もの選手たちが負傷のリスクを顧みず練習や試合に臨んでいるのにその集客力は数人のアイドルグループの足元にも及ばない。そんな小さい格闘技市場を少しでも拡大しようと奮闘しているのが朝倉未来であり、Breaking Down なのだ。 今回のように夢みたいなことが起こるのを期待してチケットを買うもののあっさり現実に引き戻されるのも格闘技で、ごく稀に起こる奇跡が忘れられず性懲りもなくチケットを買うのが格闘技ファンなのだ。 朝倉未来のすごいところは年収30億円と言われる成功を収めても違法行為やスキャンダルとは無縁なことだ。心が弱い人であれば、大麻や違法薬物に重圧からの解放を求めてしまいがちだが、それが公になった時点でそれまでに築いた名声も瓦解する。そのことを熟知しているのが朝倉未来であり、刺青が全くない肉体と相まって日本格闘技界のアイコンになっているのだ。 今回の惨敗はシェイドラエフが異次元の強さだったことが原因で、正々堂々と挑んで負けた朝倉未来の評価を貶めるものではないと思う。

視聴できないスポーツイベント

先週末はワールドシリーズ、日本シリーズ、ルヴァンカップ決勝、王座戦第五局、ブリーダーズカップ、Rizin 神戸大会、NBA、などのスポーツイベントがあった。順番にそれらの感想を述べる。 三勝三敗で最終戦を迎えた両チーム、この試合の勝敗によって天国と地獄が分かれるスポーツの魅力と残酷さが詰まった真剣勝負、日本人選手三人を擁するドジャースを応援していたが、テレビ視聴するためには二千円払う必要がある。日曜日の午前9時からの中継で、11時からはオンライン礼拝が始まる。「負け試合を視聴するのは嫌だなあ。山本は前日投げたばかりだし、先発投手がブルージェイズの強力打線に打ち込まれてボロ負けしそうだし、途中でチャンネル変えなきゃいけないしなあ」と思って、視聴しなかった。試合結果をニュースで見てビックリ、大谷が先発して三点取られて、奇跡的に追いつき、九回から登坂した山本がゼロに抑え勝利投手になるという、漫画でも出てこない白熱した試合だった。ドジャースが勝って嬉しいけど俺自身は賭けに負けた気分だった。ロバーツ監督はレギュラーシーズンでは投手崩壊で連敗が続き無策ぶりが批判されたが、プレイオフシリーズでは勝負処での的確な采配が光り、チームをワールドシリーズ連覇という偉業に導く名将となった。 柳田、近藤、周東が怪我で戦列を離れるも、若手が育ち年俸総額に見合った成績に帳尻を合わせてきたホークス、藤川新監督の指導の下セ・リーグで独走優勝を飾ったタイガース、両チームの戦いはホークスが制した。残念ながら、この日本シリーズも視聴できなかった。 ルヴァンカップ決勝も視聴できなかった。ニュースで得点シーンだけ見たが、あれだけ勢いのあるロングスローは初めてだし、衝撃だった。コーナーキックより精度が高いし、脅威を与えているように見えた。長身選手が多い北欧の代表チームがワールドカップでロングスローを多用したら、ルール変更になるくらいのインパクトを残しそうだ。 将棋の王座戦五番勝負の第五局、藤井と伊藤の同学年対決を制したのは伊藤、藤井は王座陥落で六冠となり、伊藤は二冠となった。藤井が八冠独占していた頃は「藤井が勝つのが当たり前」という感じで、他の棋士の存在感が薄かったが、今回の結果は藤井の偉業を浮き上がらせると共にライバルの登場を世間に知らしめるという意味で将棋界にとっての朗報だと思う。 世界が注目する競馬の舞台...

島崎先生

 懐古録に収録されている格闘遍歴で柔道部について実名で記している。しかし、柔道部顧問の島崎先生の言及は一言もなかった。そのことで良心が痛んだので、改めて島崎先生の思い出を綴ろうと思う。 島崎先生は生物を教えていた。俺は化学と物理を選択したので、一度も授業を受けたことがないが、学年主任だったので顔を見る機会は多かった。「やってみろ」を「やってみれい」と言う特徴があって、やたらと命令形の語尾に「てぃれい」や「みれい」を付けるので仇名は「みれい」だった。毎日、練習に顔を出す監督のような顧問ではなかったが、一年で30日くらいは練習を見に来て、たまに柔道着を着て一緒に汗を流すこともあった。体重は90kgくらいで、かなり大柄だった。 一年先輩で主将の梅野さんは島崎先生に対して「何で練習を見に来てくれないんですか?」という愛憎が入り混じった感情を抱いていた。二人の対立が表面化したのは大村工業高校に出稽古に行った時だった。試合形式の対抗戦で負けた一年生は顧問の先生の下に行って指導を受けるのが通例だが、梅野さんは一年生を呼び付け、当てこすりと言わんばかりの指導を始めた。怒ったのは大村工業高校の顧問で「梅野ーー!!」と道場全体に響き渡る声で越権行為を叱責された。 メンツを潰された島崎先生は練習後に部員全員を集めて、主将の訴えに耳を傾けた後、「俺は学年主任で責任ある立場だ。数日前には身内の不幸もあった」と切り出し、本音を語られた。梅野さんの不平は止むことはなかったが、心の奥底では納得していたと思う。今、振り返ると、島崎先生の対応は素晴らしかったと思う。島崎先生は梅野さんを退部させることもできたはずだ。対立が深まり、柔道部が空中分解することもあり得た。しかし、島崎先生は反抗期を迎えた息子に接するような愛情で梅野さんに大人としての最善の道を示されたと思う。 今、島崎先生はおいくつだろうか?元気にされているだろうか?俺が練習中に骨折した時、病院に連れて行ってもらったこともあった。この場を借りてこれまでの感謝を伝えたい。

大相撲札幌場所

 大相撲は奇数月に東京、大阪、東京、名古屋、東京、福岡の順で開催される。青森や北海道出身の力士も多く、相撲人気も高いという印象だが、残念ながらその地域で本場所が開催されることはない。既存の日程は非常によく設定されていて、運営側も勝手を知っている分、楽だろうし、敢えて茨の道に進む必要は全くないと思うが、実験的に他の都市で開催することを提案したい。 例えば、札幌場所を一回限定で開催するのはどうだろう?会場は札幌ドームで四万人収容の設定で、15日連続で開催する。チケット収入もグッズの売上げも倍増するだろうから商業的成功も十分に見込めるだろう。問題はどれだけ会場が埋まるかだが、一回限定という希少性と外国人観光客に対する相撲の求心力を考慮すると、45万人は動員できそうだ。そもそも相撲協会は商売っ気が無さすぎる。地上波で中継されてニュースでも取り上げられるのに会場には大口スポンサーの広告が全く見られない。「相撲は神事」という伝統に忠実なのかと思ったが、懸賞金には広告の場だし、NHKの意向なのかと思ったが、広告で溢れているオリンピックを平気で放送しているし、それならば伝統を壊さない範囲で大口スポンサーを募ってほしい。 力士の給料は十両で100万円で、横綱になっても年収は1億円円未満で、十両未満は無給だ。怪我のリスクも大きく、引退後の就職先も限られている。これは他のプロスポーツと比べて良いとは言えない待遇だ。このことを鑑みて相撲協会は新たな試みに挑戦して力士の待遇改善に向かって努力し続けるべきだと思う。 明日は五月場所初日だ。大の里の綱獲り、先場所の無念の休場からの巻き返しを誓う横綱豊昇龍、二人とも好きな力士なので、千秋楽での結びの一番が優勝争いになる展開を期待している。 追伸)三男が漫画「進撃の巨人」のアニメを視聴している。昨日は文字盤で三男と30分くらい話した。

東京メトロ攻防戦

 東京の地下鉄駅で大学生が見知らぬ男に背後から刃物で切りつけられる事件が起こった。 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6538194 犯人は乗客数名によって取り押さえられたそうだが、健康体の自分がその場にいたらどんな対処ができるかを想像してみた。 まず、背後から襲われたら対処のしようがない。被害者の大学生は一命をとりとめたのは不幸中の幸いだった。俺は柔道と空手をやっていたが、どちらもルールを定めて練習していた。厳密に言えば、芦原空手は実戦を想定しているので、急所蹴りや目突きの練習もあったし、試合もなかった。ただし、有志でルールを決めた組手をやっていた。このルール有りの練習が実戦ではマイナスに作用することもある。例えば、普段は禁じ手の急所蹴りを躊躇なく叩き込めるか疑問だし、刃物を持った相手との間合いは組手稽古のそれとは全く異なるし、ブロッキングなどの組手では有効な技術も使えない可能性もある。そもそも、格闘技経験者は自分よりはるかに強い人が大勢いることを分かっているし、実戦では想定外のリスクがあることを知っているので、99%制圧できる自信がない限り、逃げるか回避する方法を選択するはずだ。 次に、俺がその車両に居合わせて、犯人が倒れた被害者に覆い被さり更なる切りつけをしようとした場合を考える。俺は止めに入る自信がない。気が動転して目の前で起きている出来事を整理することさえできないだろう。逃げずに犯人を取り押さえた乗客は真の勇者だと思う。 最後に、犯人が次なる獲物を求めて俺に向かってきた場合を考える。これまでの強い相手に向かって行かざるを得ない状況を数多く経験してきたので、棒立ちで切りつけられるのを待つことはないだろう。下がるか半身になるかして直角に刃物が身体を貫くのを防ぐはずだ。若い頃だったら前蹴りは出せただろう。運良く相手の突進を止められたら、相手に「あれっ、思い通りにいかないなあ」と正気に帰る時間を与えられるかもしれない。運が悪く刃物が身体のどこかに刺さった場合、柔道をやっていた経験から相手の刃物を持った腕の袖を本能的に掴んでいるだろう。そうすると、相手の当て身による戦闘能力を半減させることができる。相手が柔道経験者なら万事休す。そうでなかったら、出血で薄れゆく意識の中、他の乗客に呼びかけて加勢を求める。なんていう展開を想像してみ...

大相撲三月場所プレビュー

  大相撲三月場所が明日初日を迎える。俺が大相撲に興味を持ったのは北の海の全盛期だ。組み止めて寄り切りで勝つ取り口は相撲の王道だが、子供の俺の目には退屈に映ったし、「憎たらしいほど強い」という表現がぴったりの横綱だった。その次に興味を持ったのが千代の富士だ。きっかけは貢という名前だ。小さな体で大きな力士を投げ飛ばす取り口に自分の願望を重ね合わせた。曙、若乃花、貴乃花、武蔵丸の時代は横綱とそれ以外の力士に厳然たる壁があり、金星の頻度も低かった。朝青龍は素行が悪いとマスコミに叩かれたが、無邪気で相撲一途な人柄と闘志溢れる取り口が魅力の横綱だった。白鵬は俺の肉眼で捉えた唯一の横綱で、とにかくデカかった。 さて、今場所の見所をいくつか挙げてみよう。 1)横綱に昇進したばかりの豊昇龍は初日に阿炎という難敵を迎える。この一番に勝って波に乗りたいが、阿炎は立ち合いの変化もやってのける力士だ。そんなことをあれこれ考えるようになると阿炎の術中にハマるだろう。 2)一時期の勢いに翳りが見られる大の里だが、体格と当たりの強さは群を抜いている。普通にやれば優勝争いできる力士。 3)長崎県出身の唯一の幕内力士である平戸海は負け越しが続いている。しかし、この人は負けても将来に繋がる相撲を取り続けているので、いつか這い上がってくるだろう。 4)先場所横綱昇進を期待されながらも負け越してしまった琴櫻は今場所も負け越せば大関陥落となる。あの無類の強さを誇った霧島でさえちょっとしたボタンのかけ違いで大関の地位を失った。琴櫻にとって正に正念場である。 5)先場所に優勝争いを演じた王鵬は関脇に昇進した。この人はゆっくりでも確実に強くなっている。今場所は勝ち越して三役定着を狙いたい。 6)先場所に優勝を逃した金峰山は体格にも恵まれ、横綱を狙える大器と目されてきた。本当に覚醒したかどうかは初日の平戸海戦で試される。 7)昨年、新入幕で優勝を飾った尊富士は立ち合いでの速攻を武器にする力士だ。盛り上がった僧帽筋を見るだけで期待が高まる。今場所優勝したとしても俺は驚かないだろう。 8)安青錦は新入幕を果たしたウクライナ出身の力士だ。俺も外国人として暮らしてきたから、異国からやってきて日本語を話しまわしを締めちょんまげをゆう力士は無条件に応援したくなる。どんな相撲を見せてくれるのか楽しみだ。