脚本が役者を殺す
NHKの朝ドラマ「風、薫る」の脚本が気にいらない。このドラマが好きな人には申し訳ないが、今回ばかりはイライラが止まらない箇所を列挙しておく。 1)ドラマは明治時代を描いている。その当時の状況を無視して現代の感覚で無理矢理こじつける描写が多すぎる。例えば、東京ー新潟間は乗り物が発達してない明治時代では徒歩で10日以上かかるはずなのに上越新幹線並みの気楽さで往復していた。 2)主人公に母性を全く感じない。娘を連れて嫁ぎ先を飛び出して上京したのに、育児は他人任せで物分りの良すぎる娘との感情のぶつかり合いが全く描かれてなかった。先週はその娘が絵描きを志して女学校卒業後新聞社に就職した。女学校を辞めて放浪するわけでもなく、親のエゴを振り回すこともなく、双方に都合が良い結末はお互いに遠慮して本音を言えない母子関係を象徴している。 3)経済や経営を無視した描写が多すぎる。訪問看護の会が雨後の竹の子のように生じて悪質業者は法外な額を請求しているという話だ。介護保険事業とかなかったのに訪問看護にお金を払う家庭は限られている。移動手段が徒歩しかないのにどうやって需要を掘り起こしたのか大いに疑問だ。 4)当時はガンは不治の病だった。現代のように手術すれば治る病気ではなかった。シマケンが胃癌の手術を受けたと聞いたときの主人公は平然としていた。違うだろ、もっと深刻に受け止めろよ、と思った。 5)直美が平蔵の家で囲碁を打っているのを見て、「訪問看護は暇だな」と思った。そんな印象を視聴者に植え付ける脚本は罪深い。しかもシマケンの財力では訪問看護を呼び食事の世話までさせることはできない。指導的立場である二人がボランティアで知人を看護する行為は問題視されないのだろうか。 6)ツヤは病院勤務の実績があるのにその証明が取れないってどういうこと?ツヤに試験を受けさせるためのご都合主義じゃないの?直美は法の抜け道を利用する人を非難するけど、非難の矛先を向けるべきは官僚主義じゃないの? 7)しのぶが「シマケンが看護を求めている」という連絡を受けたと言っていた。電話が普及してないのにどうやって連絡を受けたのかが気になった。 8)りんの所作は美しいという設定だが、シナを作っているようでプロ的な美しさで嫌味に感じる。がさつな設定の直美の所作は機能的であるが故に美しいと感じる。 9)最終回まで残り六回、普通...