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地上の太陽

 核融合発電について生成AIと壁打ちしてみた。きっかけはNHKで放送されたITERの特集を視聴したことだ。ITERとは核融合発電の実現を目的とした国際科学プロジェクトで、その番組ではITERの要職に就く日本人技術者に焦点を当てていた。 核融合を起こすための温度である1億5千万度を原子炉内に閉じ込めようとするとき、巨大なコイルでプラズマを発生させ、その温度を空中で実現させることが、フランスで建設中の実験炉の理論的枠組みらしい。「ほうほう、そんなとこまで実現しているのか!?」と頼もしく思ったが、番組を見終わったときには「ダメだこりゃあ。実用化はもっと先の話だな」という正反対の感想に至った。何故ならば、巨大コイルの扇形状の部品を円形に組み立てる際にズレが生じ遅延している場面の映像を見たからだ。そんな状況でうまくいくはずがないと思ったし、「そういう仕事はITERが請け負うものではなく、巨大コイルを制作した企業の仕事だろう」と思った。 核融合発電が実用化されたら、海水から抽出可能な重水素と三重水素を融合させて莫大なエネルギーを生み出せる上に深刻な汚染物質は生じないという地上の太陽が生まれることになる。それは全人類を救うエネルギー革命に他ならない。リターンが無限大に近いからこそ、総額3兆円前後のプロジェクトに各国が投資し続けるのだろう。現在のところ、ITERの発電実績はゼロだが、このプロジェクトに携わった人々が指導者になり、ブレイクスルーを生み出せる人材を育てるという核融合発電研究を太い幹にしていく役割を担っているのだろう。 ITERは2050年代での実用化を目標として掲げているが、その瞬間まで寿命が続けばいいなあ。

温泉巡りの旅 3)死海

 ドイツ人のフローリアン、中国人のパン、日本人の俺が死海ツアーの参加者だった。時は1998年5月、場所はイスラエルのとある大学、フローリアンは長身で優等生タイプのイケメン、パンは「家族を養うため出稼ぎに来た」というくらいの年輪がその顔に刻まれていた。俺らはポストドクターで同じ部屋で研究していた。フローリアンは俺と同じ分野の研究者で「上司に言われたことをソツなくこなす優秀な奴だった。パンの専攻分野は覚えていない。さして英語が上手くない中年のパンがどういう経緯で若手の修行の場であるポストドクターに採用されたのかも謎だった。ある日、フローリアンが「週末に死海に行く予定だが、暇なら同行しないか?」と皆に聞こえるように言った。社交辞令かどうかは考えず「暑くなって来たし、案内してくれる人がいたら此れ幸い」と思い、手を挙げた。こうして、風貌や背景が異なる、親しいわけでもなく、食事を共にするわけでもない三人の珍道中が始まった。 行き先はエンボケック、日本から持ち込んだ黄色のガイドブックによると、高級ホテルが立ち並ぶリゾート地とのことだ。ツアーは日帰りだし、日本円が強い時代だったので、「高級ホテル、なんぼのもんじゃい」という気勢だった。ただし、パンにとってはそうでなかったようだ。昼食のビュッフェ料金が高いと言い出し、別行動することになった。その当時は「せっかくの機会だから楽しめよ。リーダー役のフローリアンを困らせるなよ」と思っていたが、現在の米国の物価を体験するとあの時のパンの気持ちがわかるかもしれないと反省している。 死海はその塩分濃度の高さから生物が住めないことがその名称の由来らしい。イスラエルの5月は日本の真夏で、ビーチでは涼を求める観光客でごった返していた。常に浮いているので手漕ぎボートの要領で水をかくと推進力が得られ、沖まで行くことができたし、孤立しても恐怖を感じることはなかった。砂浜に戻ると、体に付着した海水が蒸発して体中に塩の文様が浮かび上がった。フローリアンはビーチで走ってくる若者たちの水しぶきが顔に当たり、「ありがとうよ」と言いつつも辛そうだった。パンは「着替えはどこでしたらいい?」「帰りはいつになる?」とかどうでもいいことをフローリアンに尋ねていた。フローリアンは「俺はお前の母親ではない」と笑顔で突き放していた。 死海観光は楽しかったが、三人の結束が高まっ...

イランに空爆

 米国とイスラエルがイランを空爆して最高指導者であるハメネイ師を殺害した。ロシアがウクライナ侵攻を開始したときは「明確な国際違反だ」「武力による現状変更を許してはならない」などと国際秩序を守る立場からの発言を繰り返していたのに、実は国際社会というのは暴力団同士の縄張り争いで、「俺たちは警察側だ」というのは錯覚だったことが露わになり、それまでの自分を否定されたような気持ちになる。 そうかと言って、米国を「テロ支援国家と見なす国の指導者をテロで殺害するなんて!」「巻き添いになった民間人の人権はどうなるのか?」と非難することもできない。東京周辺には横田や厚木や横須賀などの米軍基地が集中していて、いじめっこを非難して新たないじめの対象となることを恐れる心理が働くからだ。他の同盟国に歩調を合わせて「イランが核兵器を所有すること容認できない」と言うのが最善の対応だろう。 ベネズエラと同様に空爆を一般市民がどのように受けとめているのか伺い知れない。「圧政に苦しんでいる人々が大多数で、トランプ大統領は彼ら彼女らのヒーローだ」というふうに考えることができたら、どんなに楽な気持ちになるかと思う。 この手のニュースを見るたびに淀んだ気持ちになり筆が鈍る。

長年の呪縛

 俺が子供の頃、実家の便所は一個だけで小便器と和式大便器が壁で仕切られていて、窓はあったが換気扇はなかった。その構造ゆえにウンコの臭いをかぐことは日常茶飯事で、残り香で誰が直前に入ったかを判別することができた。 大学に合格して、福岡でアパートを探そうとなったとき、「親の金で大学に行かせてもらっている立場であるから、どんなに安くて劣悪なアパートでも構わない」とは思いつつも、「できれば、風呂とトイレが別室になっているアパートに住めたらいいなあ」と思っていた。不動産業者もその辺りの事情は熟知しているようで、別室になっていることを強調してセールストークを展開していた。 時は流れ、俺は結婚して釜山大学で定職を得た。借家暮らしで資金を作り、ダメモトで見学に行ったマンションが思いのほか好条件で、その場で購入を決めた。ただし、浴室と洗面台と洋式トイレが一室に収められていた。幼少時の経験から「残り香が漂う空間で風呂に入るなんて真っ平ごめん」と思っていたが、実際に生活してみるとそういうことは皆無だった。先ず、昔の洋式トイレは水が浅くこびりついていたが、それから格段の進化を遂げ現在の水を十分に張って臭いを最小限に抑え込む様式が定着していた。次に、換気扇が電灯に連動して作動する。この二つによって快適な入浴時間を送れている。 見逃せない点は掃除が非常に楽なことだ。別室の場合、飛沫が床や壁に付着している前提で掃除するので神経を使うし時間もかかる。一室の場合、床や壁をシャワーで洗い流すだけだ。かくして俺は長年の呪縛から逃れることができた。

温泉巡りの旅 2)釜山、虚心庁

 釜山広域市の地下鉄温泉場駅から徒歩5分の位置にある虚心庁は日本で言うところのスーパー銭湯のような巨大浴場施設だ。その近所に温泉が湧く小規模の銭湯がある。その泉質をどのくらい希釈しているのか定かではないが、虚心庁でもれっきとした温泉だと言うことだ。温泉と思って入浴すると物足りないと感じるが、虚心庁の魅力はそれだけに留まらない。今回は俺の視点から虚心庁の快適性を伝えたい。 虚心庁は温泉場地区の最高級宿泊施設である農心ホテルと通路で連結されている。農心ホテルは釜山大学と提携していて、釜山大学教職員が予約すれば宿泊客が一般人でも割引価格が適用される。そのために農心ホテルに出入りすることが多く、虚心庁に同行することもしばしばあった。そんなわけで俺が教員だった頃は年に四五回は通っていた。それは付き合いだけでなく、純粋に自分がくつろぎたいがために通っていた。農心ホテルではプロ野球選手の集団と遭遇することもしばしばで、そのたびに「戦いの疲れを虚心庁で癒しているんだろうな」と想像を膨らませていた。 虚心庁のエントランスにはコインロッカー式の下駄箱が設置されていて、施錠して引き抜いた鍵でチェックインする仕組になっている。フロントで衣服用の電子錠と下駄箱の鍵を交換してからの入場となる。衣服を脱ぎ、衣服と荷物を個人用のロッカーに入れて施錠した後、電子錠のみを手首に結びつけた格好で大浴場に向かう。日本ではタオルで局部を隠して移動するが、韓国ではそういう人を見たことがない。この辺りは日韓の入浴文化の違いが如実に現れていて非常に興味深い。大浴場では体を洗うためのシャワーが多数設置されている。そこにはアカスリ用のタオルが山積みされていて自由に使える。使用後は回収用の箱に入れることになっていて、日本のようにタオルを湯舟に持ち込んだりしないようだ。大浴場の周辺には、打たせ湯、サウナ、ジャグジー、赤土湯、露天風呂、ビーチ用ロッキングチェアーなどが設置されていて、ありとあらゆる種類の要望に応えるほどの充実度を誇る。個人的に四十肩を患っていたとき、4mの高さからこれでもかという水量で落ちてくる打たせ湯に大変お世話になった。厳冬の時期の露天風呂もまたおつなものだ。 これで終わらないのも日韓の違いの一つだ。大浴場出口には体を乾かすためのタオルが山積みされていて、用が済んだら回収箱に入れることになってい...

公職選挙法

 生成AIに「公職選挙法って変じゃない?」と尋ねたら、「金持ちが選挙で有利にならないように」という原則に基づいた制定の経緯を説明した後、以下のような個別の事例を示してくれた。 ……………引用始め 選挙カーで移動中は名前の連呼しかダメ(政策を話すと違反)。→ 走ってる車から政策聞こえないのに、名前だけ連呼…有権者に失礼すぎる。 コーヒーは買収だけどお茶はOK、せんべいはOKだけどサンドイッチはNG、まんじゅうはOKだけどケーキはダメ…昭和の基準がそのまま残ってる。 選挙事務所に提灯はOK(明治時代の街灯がない時代の名残り)。 戸別訪問禁止(世界的に珍しい厳しさ)。 18歳未満は選挙運動NG(外国人ならOKなのに)。 電子メール・SMSで投票依頼はNGなのに、SNS(X、Instagram、LINEのメッセージ)はOK…なぜメールだけダメ? 投票日当日のSNSで「〇〇さんに投票しました!」(投票用紙写真付き)は選挙運動とみなされ違反の可能性。秘密投票の原則を自分で壊すリスク。 ポスターのサイズ・枚数・掲示場所が細かく決まってるのに、最近は公営掲示板に広告やほぼ裸のポスターが貼られる問題 → 2025年に品位保持規定が改正されたけど、まだ不十分。 ……………引用終わり 選挙カーでの名前連呼が公職選挙法による縛りのためだったとは!? SNSはメール機能を含むのでは? そもそも、票を金で売買することが問題で、金持ち自体は悪いことじゃないし、上記の原則を完全に守ることができるとは思えない。選挙期間外に楽な仕事を課して高額報酬を払うとかいくらでも抜け道はありそう。 公職選挙法が悪用されて政治家を罪人に仕立て上げる側面はないのか? などの疑問は尽きない。公職選挙法の改定を選挙公約に掲げても支持が拡大するとは思えないからなあ。せめて労働に見合った対価が得られるように改定してほしい。

トランプ関税は違法

 トランプ関税が発動されたのが一年前、世界中があたふたして、日本では赤沢大臣が交渉役に任命され、日米を何度も往復して交渉を重ね、日米合意が成立するのを見届けてから石破首相が退任した。先日、米国の最高裁判所で「トランプ関税は違法で無効」という判決が出た。このことについての感想を述べる。 1)例えばの話だが、米国がある国と交戦中、最高裁判所で「この戦争は違法で無効」という判決が出たとき、大統領は素直に戦争をやめるだろうか?いや、司法の判断より上位の国家的判断と考え、戦争を続けるのではなかろうか?そもそも、司法の判断に従わせる強制力は政府側にあるので、政府側のトップにいる大統領を止めることはできない。と思っていたが、トランプ大統領は文句を言いながらも判決に従う姿勢を見せている。今回の裁判で保守派の裁判官がいたのにこの判決が出たことに驚いたし、勇気がいる判決だったと思う。 2)これまでのドタバタは何だったのだろう?日米合意に基づく80兆円の対米投資や日本のみならず各国と結んだ貿易協定はなかったことになるのだろうか?来月、高市首相が訪米して首脳会談するのだが、気まずい雰囲気になるのではないかと心配になる。 3)トランプ大統領は今回の判決を受けて、各国に一律10%の関税を課す大統領令を出した。ここまでくるともうわけがわからん。誰か詳しい人がいたらご教授願いたい。