1分小説 8)「藍とAI」 (650字、AI補正無し )
会社員の山本修平は、同僚の河野藍が離席した隙に、藍のスマホにあるアプリをインストールした。それは生成AIの命令文を山本に転送するようにプログラムされていた。 藍は頻繁に生成AIを利用している。山本は藍の趣味や嗜好だけでなくその日の心理状態までアプリを通して知るようになった。山本は入念な下調べをしてから出勤することを日課にしている。すると藍と会話する時間が徐々に増えていくようになった。 ある夜、藍は生成AIに悩みを打ち明ける。山本はリアルタイムで藍が入力する文字列を追っていた。 「付き合っている人がいるんだ」 「そんな!!そんなこと、初めて聞いたぞ。相手は誰だ?」 「その人は背が高くてイケメンで、車でデートに連れていってくれるんだ。社内恋愛だけどね」 「ウチの会社では一人だけ。あいつは女たらしで有名なんだ。悪いことは言わないからやめた方がいい」 「もう一人は会社の上司で、色々教えてくれるんだ。やっぱ、仕事できる人はかっこいいよね。この間、高級焼肉、奢ってもらっちゃった」 「何イー。焼肉食べに行くほど深い仲ってこと? 二股で不倫とか最悪じゃん」 「もう一人、気になる人がいるんだ」 「まだいるのか? ショックで眠れんぞ。明日、会社休んじゃおうかな」 「あたしがこんな性格だからさ、その人は自分に無いものを持ってるっていうか、話も合うし、一緒にいると安心するんだよね。見た目は不細工だし、パッとしないんだけどね」 「…………………」 その後、山本は藍に交際を申し込み、一年後に結婚式を挙げる。新婚旅行に向かう飛行機の中で藍は修平に「あのアプリ、消すからね」と言った。