お盆中日
今日は8月14日、お盆の中日だ。平坂家の墓は大村市内の実家から徒歩で20分の位置にあり、祖父、祖母、父が祀られている。幼い頃からお盆は墓参りで、「せっかくの休日なのに墓参りしか行事がないのは何故なんだ?」という疑問と不満を抱いていた。海や山に行くわけでもなく、ご馳走が出てくるわけでもなく、線香を上げるのは自宅の仏壇で毎日やっているのにわざわざ墓まで赴くのは何故だろう? 会ったこともない祖父をお参りしても厳かな気持ちにはなれないと思っていた。大人になるにつれ、「お盆とはそういうものだ」と理解はするものの「死者を弔うには墓参りが不可欠だ」とはどうしても思えなかった。 父が亡くなり、祖母が亡くなり、2回の喪主を務めた。その後はさすがに先祖を哀悼する気持ちが湧いてきたが、自分の家族に精一杯手一杯で、祖母がやっていたように毎朝仏壇の前で拝んでいたのとは程遠い状況だった。どうやら俺は先祖より子孫に重きを置くタイプのようだ。その考えは間違いではないと思うし、妻子にもその姿勢を貫いてほしいと思っている。 現在、俺はALSに罹患している。家族と韓国に住んでいるし、家族の支えがないと生きていけない。家族の生活基盤は韓国にあり、将来もそのままだろう。日本に帰って来ることは困難だし、俺は家族のそばで一生を終えたいと思っている。 そんなわけで、俺は長男ではあるが、平坂家の墓に入るつもりはない。大村在住の弟がそれを守ってくれるだろう。もっと言えば、墓に入りたくない。骨は海に散骨してほしい。お盆ということで終活する次第だ。人工呼吸器を装着した現段階では簡単には死にそうにないので、まだまだ先の話だと思うが。