格闘遍歴 番外編 1)

本ホームページは日々投稿される記事と以前の平坂塾ホームページで書き貯めた記事を保存するページ群とで構成される。そのページ群の中の懐古録は過去の出来事を振り返って綴っていて、例えば、中学校時代の話のようにその場に居合わせた人しか共感できないような話が延々と続いている。すなわち、懐古録は不特定多数の読者ではなくテーマごとに限定された読者を念頭に綴られている。


懐古録の最後のテーマは俺の格闘遍歴で、エアマウス時代末期には長文が億劫になると共に創作意欲が薄れたために、未完成の状態だ。今回は番外編で格闘遍歴では触れなかった先輩について言及する。彼の名は有馬、いくつ上の先輩かは不明だったが、六本松キャンパスのトレーニングルームでよく指導を受けていた。


有馬さんは小柄で端正な顔立ちだが、俺は「決して組手稽古をしてはいけない」先輩として認識していた。その理由は怖いからだ。有馬さんの実家は古武術の家本で、瞬間的な動きにキレがあった。芦原空手はフルコンタクト空手で、組手稽古は突拍子もない技は出さないという怪我防止のための暗黙の了解があった。しかし、古武術はルール無用の意表を突いて相手を殺す技術なのだ。有馬さんの全身からその凄味が滲み出ていた。芦原空手のルール内で動いているように見えてもブロックするときに肘や膝を鋭利に尖らせて相手の蹴り足に致命傷を負わせるような怖さがあった。


そうは言っても、技や練習方法を指導してくれるときの有馬さんは優しく、その教え方もわかりやすく理にかなっていた。九大芦原空手部OBと現役部員が集う年末の納会に参加されてないようだが、元気にされているだろうか?有馬さんから盗んだ肘ブロックは体格で上回る後輩たちの攻撃から俺を守ってくれたと伝えたい。


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