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3月, 2026の投稿を表示しています

醬油が甘い

九州の醬油は甘い。その理由は醤油の原液に砂糖を混ぜて製造されるからだ。和食の味付けの基本となる醬油が甘いのだから一品料理も甘くなるのは推して知るべしだろう。実際、酢飯、煮付け、肉じゃがなどの「甘味料がないと成立しない」和食が多数存在する。九州の中でも長崎は料理に砂糖を用いることで有名だ。カステラを始めとする菓子も甘いし、皿うどんのあんも甘辛いし、大村寿司にも大量の砂糖が入っている。それが当たり前だと思っていたので、大村を出る前までは何の疑問も抱かなかった。しかし、福岡で自炊するようになってから「実は自分が暮らした地域が特殊だった」ことに気付き始める。 初めての一人暮らしで初めての自炊だったので、料理はレシピ本通りに作ることになる。出汁を取るのが面倒だったので、洋食中心に作っていた。そのレシピに砂糖が出てくることはなかった。出来上がった料理を食べると「悪くない」と思った。自分で苦労して作った料理だったからかもしれないが、素朴でいい味だと思った。そのときに気付いたことは「口の中がベタベタすることがない」ということで、自炊を重ねるたびに「あのベタベタは砂糖によるものだったんだ」とか「料理って砂糖を一切使わなくてもできるんだ。いや、そっちの方が断然美味しいだろう」という考えが芽生えてきた。 博士号取得後、イスラエル、韓国に長期滞在することになる。日本では甘い炭酸飲料を好んで飲むことはなかったが、イスラエルでは「ハンバーガーにはコーラが合う」というように味覚も変化した。これは湿度の違いもあるだろうが、料理に含まれる糖分量にも関係していると思う。ちなみに韓国料理は日本ほどではないが結構な量の砂糖を用いる。ただし、韓国の玉子焼きは甘くない。 歴史をひも解けば、江戸時代に唯一の海外貿易港だった長崎出島の影響で砂糖が庶民にも流通し、お客さんをもてなすときには砂糖をふんだんに使って料理する文化が定着したことが現代にも受け継がれているらしい。その呪縛から逃れた俺は「砂糖を料理に使うと、一定の満足度は得られるが、素材本来の甘さが砂糖の甘さに負けてしまい単調な味になる」という結論に至った。外に出て気付くことは多い。その一方で「あの甘い醬油に浸して食べるハマチの刺身を味わいたい」とも思う。

決戦は日曜日

 棋王戦五番勝負第五局の藤井聡太棋王対増田康宏八段の生中継を視聴している。素人目には馬を作っている後手の増田八段が有利のように見えるが、AIによる形勢評価は藤井棋王の有利を示している。手数が進むごとに藤井棋王の優位が拡大し、「ここまで来たら藤井棋王が勝ちを逃すことはないだろう」という局面に差し掛かった。結局、藤井棋王の圧勝で棋王戦四連覇を達成した。土壇場での勝利は「藤井聡太が飛び抜けた存在である」ことを改めて印象付けた。 話題は変わって、サッカー日本代表がスコットランド代表に1対0で勝利した。三日後のイングランド代表戦を見据えての主力を温存した先発メンバー、敵地グラスゴーでの試合、負傷者続出でベストメンバーが組めない日本代表、などの悪条件が重なっていて、ボロ負けすることもあり得ると予想していたが、後半から主力を投入して勝ち切ったことは大きいし、弱かった時代の日本代表を知る者として隔世の感がある。 コメント欄に「大学院生時代の俺を記憶している」という投稿があった。光栄なことだし、身が引き締まる思いだ。俺の名前を覚えていることも、そこからどうやって本ホームページに到達したのかも気になるところだ。こういう偶然の出会いがあると、「インターネットは時代を超えて全世界に繋がっているんだなあ」と思う。

お花見外出

 今日は天気が良く気温も高い。そんな理由で妻は俺を外出させようとする。俺は寝ているだけで外出するための準備は全部妻子がやってくれるのだから拒む理由がどこにあろうか?と妻は思っているかもしれないが、子供たちの時間を奪うことになるのと苦労対満足度が割りに合わないことが俺に二の足を踏ませる。 結局、「友達と卓球しに出掛ける」という次男が妻に引き止められ、さんざん待たされた挙句、車椅子への移乗を手伝った後に自室に戻った次男は「力仕事が終わっても準備は山ほどあるのに全く気が利かない。お父さんにそっくりだ」と妻からの小言を浴び、出発直前に吸引を訴えた俺のせいで外に出た時刻は3時半だった。 俺の外出に同伴するのは妻と次男と三男だ。いつものように区役所広場で日光浴をした。そのときに次男を労おうと思い文字盤で「一番助けてくれるのに一番怒られる」と伝えた。一時間前の小言がなかったかのように陽気になるのが妻の良いところだ。「一番は私に決まっているでしょう」と言い返した後、昔話に花を咲かせ、喰い付いてくる次男と三男を向こうに俺を出汁にした漫談と説教を展開していた。 いつものコースで帰宅した。前回の外出との違いは川沿いの並木桜が五分咲きだったこととマンション敷地内に植えられた木蓮の白と椿の赤との対比が鮮烈だったことだ。無理矢理に引きずり出してくれた妻、自分の時間を放棄して付き合ってくれた次男、重い荷物を持ってくれた三男に感謝を伝えたい。

今週の将棋界

 将棋界の最近の話題をまとめてみた。 1)王将戦第七局を藤井が制し、王将位五連覇を達成した。藤井は一勝三敗からの三連勝で逆転防衛を果たした。俺は、藤井の絶対王者としての底力を期待しつつも、藤井に跳ね返され続ける対戦相手の永瀬を応援していた。そもそも、持ち時間の多い二日制の対局で藤井に三勝している時点で称賛に値するのだが、負けた永瀬には何も残らない。しかし、そんなことで挫けたりしないのが永瀬の魅力だ。いつの日か、雨滴が岩を砕く瞬間が訪れることを期待している。二人とも独身だが、今後の色恋沙汰を含めた私生活がどうなるかも気になる。 2)今日は福間香奈の棋士編入試験五番勝負第三局の生中継を観戦している。将棋の棋士になるには、奨励会に入り、各段位のリーグを勝ち上がり、26歳までに三段リーグの上位2名に入ることが求められる。その例外として、棋士との公式対局で六割五分以上の成績を残す等の好成績を修めた者に与えられる救済措置が棋士編入試験である。その試験官が四段の若手棋士なのだが、彼らは忖度をして手を抜かないし、熾烈な三段リーグを勝ち抜いた者だけあって、未来のA級棋士がいる可能性が高い実力者揃いだ。福間が公式戦で戦う棋士たちより強い試験官に六割以上の成績を残すことが求められるのが棋士編入試験なのだ。福間はこの対局で敗れ、不合格となった。福間の再挑戦に期待している。 3)3月29日に棋王戦五番勝負最終局が藤井と増田で争われる。 https://abema.tv/now-on-air/shogi 上記のサイトで生中継されるので要チェックだ。

蹴球伝説 3)

 イングランド代表だったジェラードは強烈なミドルシュートを撃つことで有名な選手だった。 https://www.youtube.com/watch?v=vu9gpa2cg38 上の動画を見ると、「そりゃあそうだろう。高身長と長い脚の体躯は遠心力を活用した引き金になっているに違いない」と納得させられる。そんな折りに活躍し始めたのがメッシだった。メッシはドリブル突破が有名な選手で、後にワールドカップを母国アルゼンチンにもたらし、世界の歴代選手の筆頭を争うほどのすごい選手だ。そのメッシはシュートの名手でもあった。ジェラードほどではないが、「あんな小さな体でどうやったらそんなに強いシュートが撃てるのか?」と感嘆するほどの威力だった。 俺はメッシのシュート技術に感化され、自宅マンションの敷地に隣接する小学校の校庭で練習を始めることにした。遊具の一つである鉄棒の壁にボールを打ち込み、その跳ね返りをトラップして打ち込むという動作を繰り返した。意識したのはメッシで、「ボールの芯を正確に捉え、蹴り足に体重を乗せ、膝から下の振りを速くする」ことだった。一回打つたびに「今のはいい感触だった」とか「体重が乗ってなかった」などの評価をして改善のヒントにする作業をやり続けた。運動音痴だった俺は与えられた練習メニューの意味もわからず盲目に追従していた。しかし、30代後半の俺は「自分の体をどのように動かすか」を分析し実行できるようになっていた。そのうちジェラードの映像が頭に浮かんできて、「手首のわずかな動きで大きく波打つ鞭のように腰から連動して足首に最大のモーメントを生む」蹴り方を模索するようになった。 そんな練習をしてもその成果を披露する機会は訪れなかった。なぜならば、教授蹴球会での俺のポジションは守備だったからだ。それは毎週金曜日に行われる学生チームとの練習ゲームでも同様だった。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/03/2.html https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/07/blog-post_25.html 上記の記事で触れているように、俺はかなり勝負にこだわっていたので、守備に専念することは失点が少なくなって接戦になることを意味しており、俺は自らの選択で上がらないようにしていた。 ある日、教授蹴球...

スポーツ三昧

 先週末の出来事をまとめてみた。 1)なでしこジャパン がオーストラリアで開催されたアジアカップの決勝にて同代表を破り優勝した。しかし、NHKの21時代のニュースでも取り上げられなかったし、ネットニュースでも扱いが小さかった。女子サッカーファンの俺としては寂しい限りだ。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/02/blog-post_27.html でも触れたように、新監督のニールセン氏の手腕を高く評価していた。その後、メディアの後押しがあったのにも関わらず、国内の親善試合で格下のコロンビアに引き分け、ブラジル遠征でコテンパンに負けて、欧州遠征でもスペインに為す術もない負け方をして、国内組だけで臨んだ中国と韓国との試合でも勝ち切れず、「この監督で大丈夫か?解任されてもおかしくない内容と成績だぞ」と思っていたが、今回の優勝でニールセン氏の首が繋がることになった。 2)大相撲春場所は霧島の優勝で幕を閉じた。霧島の大関復帰も確実視されている。俺は豊昇龍を応援していて、その敵役の霧島を推すことはなかったが、今場所に限っては「大関に復帰して、豊昇龍とのライバル関係も復活するといいな」と思っていた。今場所の豊昇龍は霧島に負けたのはしょうがないとしても、琴櫻に負けて千秋楽を退屈なものにしたのは横綱としていかがなものかと思った。平戸海は藤の川に負けての負け越し。実力者揃いの幕内上位に踏みとどまってことを良しとするべきなのかもしれない。来場所以降も踏ん張りどころだ。 3)昨晩はイングランドプレミアリーグのニューキャッスル対サンダーランドの試合を生観戦した。知っている選手は一人もいなかったが、「ボール保持者への寄せの速さ、フィジカルモンスター同士の球際の攻防、原則的に前へ前へと攻める姿勢、終盤になっても衰えないスタミナ、鋭いクロスと強烈なシュート、勝とうとする飽くなき闘争心」というリーグの魅力を体現するような好試合だったので最後まで見てしまった。

自転車に乗りたい

 三男の同級生の間で自転車が流行している。いや、正確に言うと、一年以上前から流行していて、三男は事あるごとに「自転車を買って」と妻に懇願してきた。「電子機器で遊ぶよりはるかに健全だ。買ってやればいいのに」と思っていたが、妻は「安全面で問題がある」と言って、三男の要求を時には「公道では乗らないと約束するなら買ってあげる」と言ってはぐらかし続けて一年が過ぎた。話を聞いていると、流行している自転車というのは移動用ではなく競技用で、新品で150万ウォンもする高価なものであることがわかった。三男の同級生たちは競い合うように高価な自転車を購入し、車が来ない河川敷の自転車専用道やマンションの敷地内の広場で腕を磨く、というよりは、愛車を自慢すると共に維持管理のための情報交換を行うらしい。自転車がない三男は友達の自転車に乗せてもらったりして集会に参加していた。 俺も男だから、虚栄心の発露の場での三男の気持ちがよくわかる。振り返ると、俺の少年時代にも子供用の変速ギアがついた自転車がブームになり、五段変速ギアの自転車に憧れ、暴走族の集会のように集団で校区外に遠征していた。その後、釣りブームが起きて、釣れもしないのに「餌はゴカイ、重りは8号、浮きは棒型、釣り場は白道」みたいな情報収集に時間と情熱を注いでいた。しかし、ブームが過ぎると、きれいさっぱり忘れて見向きもしなくなることも知っている。「三男が中学生になる頃にはほとぼりも冷めるだろう」と予想していた。 三男は今年の3月から中学生になった。ある日、「友達が30万ウォンで譲ってくれると言っている。お金は自分で出すから、そうしてもいい?」と三男が妻に言った。妻は一度は了承したものの、その翌日、「友達と取引をするもんじゃない」と前言を翻した。喜ばせてがっかりさせるのは妻の得意技だ。「さすがに可哀想だろう」と思っていたら、妻もそう思っていたのか、取引を認める方向で話が進んでいた。ところが、三男が事前に説明していた自転車と取引する自転車の車種が異なることが発覚した。妻が「ブレーキがない自転車は駄目だ」と明言していたので致し方ないところだ。取引は中止になった。 それから紆余曲折を経て、ネットの中古品市場で60万ウォンの自転車が目にとまり、長男が同行して取引成立となった。三男は毎日のように自転車を持って外出している。この一ヶ月で三男が取引と信用...

出会いと別れ

 下記の記事で紹介したKGSから「二泊三日で釜山に家族旅行をする予定だ」というメッセージが来た。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/09/blog-post_14.html 今日の夕方、家族を連れて我が家を訪問してくれることになった。ありがたいことである。KGSが家族を紹介してくれるのも、家庭でのKGSの様子を聞くのも、楽しみだ。 歓談の時間も終わり、一行は妻の運転する車に乗って釜山大学見物に出掛けた。 残された俺はネットニュースを読んでいた。すると、「広中平祐」の文字列が見えた。「まさか」と思い、クリックしたら「死去」の文字が続いていた。広中先生が釜山大学で講演されたとき、我が家に先生を招いて妻の手料理でもてなした。緊張して何を話したのか覚えてないが、「フィールズ賞を取るほどの大家なのに、対等な目線で会話を楽しんでくれている。だからこそ数理の翼を始めとする様々な普及活動を通して人材を育成できたんだ。それが皆に親しまれ尊敬される理由なんだ」と思った記憶がある。事の経緯は以下に記している。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/11/12.html なんだか心に穴が開いた気分だ。広中先生、安らかにお眠りください。先生の講演で影響を受けた釜山大学の学生は確実に存在しています。

某国大統領

 富豪で政財界に幅広い交友関係を持つエプスタイン氏が少女に対する性的搾取と人身売買で有罪判決を受けた。その後に交友関係を持っていた人たちが追及されている。エプスタイン氏は一代で巨万の富を築き、英王室や米国大統領を含む政府高官と親密な関係だったことから、人間的魅力に溢れた人物だったことが推察される。多様性の時代だとは言え、小児性愛者は鼻つまみ者だ。そのことを知っていて交際していた者にも非難の嵐が吹きまくる。 某国大統領もあまりにも正直で、その実行力と人間性が評価されているのかもしれないが、俺は「人を殺したことを得意気に語る」人物と親しくなりたいとは思わないし、「人としてどうか?」という疑問符を付けて距離を置くだろう。政治家として某国の国益のために奔走し、世界各地で紛争解決に向けて尽力していたことは認める。しかし、今回の中東での混乱と殺害を目のあたりにして、某国大統領を鼻つまみ者として扱うことを決めた。 某島国の総理大臣は「エプスタインと関わった者のように将来非難される可能性がある」ことを頭に入れて首脳会談に臨んでほしい。 三年後、大統領が交代して、前職を支持していた者たちが吊るし上げられるようなことが起こらないことを願う。それは世界がそこまで混乱し、良心を失っていることを意味するからだ。

蹴球伝説 2)

「おい、反則だ」と思わず日本語で叫んだ。時は2007年10月、場所は釜山広域市のサッカー場、俺は釜山大学教授蹴球会の一員として全国大会の出場権を賭けて釜山教育大学の教員チームとの試合に臨んでいた。ただし、釜山大は主力を温存していた。これは「その前の試合で出場機会のない教員に対する配慮」と「全国大会に出場したらその費用を会費だけでは賄えない」と「とりあえず、前半の様子を見てから本気で全国大会を目指すか決めよう」という複雑なチーム事情が起因していた。 最年少で、そのチーム事情を理解してなさそうで、常に勝負にこだわり、学生チームとの練習ゲームでも熱くなる、俺は何の説明もされずに二試合連続でスタメンに名を連ねていた。俺の目には「俺の手でチームを勝利に導く」という青い炎が宿っていた。 教育大のプレイは荒かった。最初は「真剣勝負で興奮してついつい脚が出るのだろう」と思っていたが、時間が過ぎるにつれ、「もはやラフプレーの範囲を越えている。相手を負傷させることを目的としてやっているとしか思えない。コイツらも大学教授なのか?」と疑念を抱くようになった。特に教育大の10番はその背番号とは裏腹に審判の見てないところで脚を蹴るという悪質な行為を繰り返していた。冒頭の叫びも10番が俺を背後から押して、俺がつんのめったところで発されたものだ。俺は怒りに震え、「どうやって復讐するべきか」を考え続けていた。しかし、アンチフットボール的な手段で復讐を果たしても同じ穴のムジナになってしまう。やはり、最大の報復は正攻法で試合に勝つことに尽きる。現在、スコアレスで前半を終えようとしている。俺はチームメイトを鼓舞してピッチ上の誰より動き回り、体を張って守備をした。すると応援に来ていた学生チームの面々から「ひ、ら、さ、か」とコールされた。もう気分はブラジルで大声援を受ける三浦カズだ。 後半から釜山大の主力たちが投入されて、俺のポジションは中盤に上がった。俺は中盤で相手チームのボール保持者のパスコースを切りながら間合いを詰め、ボールを奪い取った。自信を深めた俺は縦横無尽に動きまくり、敵の攻撃の芽を摘むと共に味方の攻撃の起点となった。その働きは俯瞰で撮影したDVDに記録されている。釜山大優勢のまま推移したが、引き分けだと教育大が全国大会出場となり、復讐も成就することはない。後半終了間際、釜山大はコーナーキックを得...

WBC準々決勝

 WBCの準々決勝の日本対ベネズエラ戦を観戦した。韓国では自国以外の試合は放送されないと思い込んでいたが、KBSで生中継してくれることがわかった。ただし、オンライン礼拝時間である11時から12時までは観戦していない。 一回表、先発の山本が先頭打者ホームランを喰らう。打ったアクーニャジュニアは本塁上でゴリラのように自身の両胸を叩き歓喜を表現する。それは日本への威嚇でもあった。MLB最高の舞台であるワールドシリーズで快投してMVPを獲得した山本が打たれた。日本の最高の投手として先発に起用された山本が打たれたということは他の投手も打たれる、もしくは連打を浴びて火ダルマになるということ、俺はそんな試合展開を想像して激しく動揺していた。 一回裏、大谷が先頭打者ホームランを放つ。俺は涙を流しながら、「日曜日の午前で、日本中の人々が打ってほしいと願う場面で、最高の結果を出すなんて!!こんな完璧なヒーローが実在するとは!!」と感動していた。 三回表まで観戦してオンライン礼拝に切り替える。山本だから二失点で済んでいるが、打たれる気しかしないという印象。日本の打者は空振りばかりで打てる気がしないという印象。六回表から観戦を再開する。意外や意外、5対4で日本が勝っている。何が起こったのか確認できないでいると、伊藤がスリーランを浴びて逆転される。その後は送球ミスでダメ押しされ、流れを掴めず、次々と替わる相手投手陣の前に手も足も出ずに凡退を繰り返し試合終了した。 野球は調子の波が激しい競技だから、べネズエラが実像以上に大きく見える日もあるかと思うが、10試合で五分以上の星を確実に残せる相手ではないことも確かだ。そこから導かれる結論は「弱いから負けた」で、過去にサッカー日本代表の試合で味わってきた感情が蘇ってきた。しかし、俺は大谷のホームランをリアルタイムで見ることができて満足している。

驚異のコミュニケーション能力

 今日の午後、物理療法士の方が来られた。去年まで担当だった方ではなく新しい方だ。事前に妻が知らせてくれていたが、妻の外出と共に失念していた。門扉を開け応対したのは長男だ。通常であれば、「ルーゲーリック病 (ALSの別名) で手足が動かないし声も出ない。認知は問題ないし、韓国語も理解できる。まばたきが肯定を意味する」みたいなことを妻が説明してくれるのだが、不在のために長男は質問を逐次答える方法で急場をしのいだ。驚いたのは長男がその過程で私的な話題を折り混ぜて距離を縮めていたことだ。その方は女性で年齢も長男と同じくらいに見えた。その会話術があれば、非モテに属することはないだろう。 妻が帰って来てから四肢のマッサージが始まった。妻も驚異のコミュニケーション能力で仲良くなり、教会に通っていることがわかるとキリスト教の話で盛り上がっていた。どうやら妻から長男に遺伝したようだ。 脚のマッサージではアキレス腱を始めとする靱帯と筋肉が伸びて気持ち良かった。腕を後方に伸ばすマッサージでは激痛が走った。以前はそういうことはなかったのに、知らず知らずのうちに肩の可動域が萎縮しているのかもしれない。 その方は一ヶ月に一回の割合で訪問してくれるそうだ。JSYさん、今後ともよろしくお願いします。

漫談スケーリング

 今日の午後14時、訪問診療の歯科医の先生と看護師2名が来られた。前回の訪問診療は以下に記している。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/12/blog-post_5.html 上記の訴えを伝えたいと思っていたが、タイミングが合わず事前にパソコンに接続することができなかった。先生の「前回の様子を日記に書いたか?」という冗談を幸いと思い、妻に「今すぐブログを読んで」と頼んで、スケーリングの最中に韓国語で音読してもらった。 先生は「スケーリングの結果、歯ぎしりができなくなった」のくだりで怒ったふりをして、「音の鳴る入れ歯を開発してほしい」のくだりで「そんなことは思いもつかなかった。早速、調べてみなければ」と言っていた。冗談か本気か定かではないが、「開発して利益が出たら5対5で分けよう。センサーを埋め込めばできるよ。次回までにやっておこう」と言っていた。 ALS患者は少数だからお金儲けはできないけど、全世界の四肢が動かず声も出せない患者に希望の光を与えることになるだろう。少なくとも俺は救世主として尊敬しまくる。上記ブログのコメント欄にあるように、入れ歯でなくともマウスピースなら交換も改良もしやすいし、意のままに音の強弱をつけられるだろう。 スケーリングの時間は90分を超えていた。その間、看護師さんたちは立ちっぱなしで、先生は尽きることのないユーモアでその場にいた全員を楽しませていた。歯の内側にこびりついていた歯石の大きさを見て驚いた。なんでも唾液にも歯石を形成する成分が含まれていて、半年ごとに新たにできる歯石を除去するものらしい。実際、最近はかなり大きな音の歯ぎしりを出せるようになっていた。現在は音が鳴らないが、3ヶ月後には元に戻るだろうから前回のような喪失感はない。次回の訪問診療での試作品は期待していないが、先生の漫談をまた拝聴したいと思う。

大相撲大阪場所二日目

 大相撲大阪場所二日目の中継を視聴した。以下はその感想だ。 1)また有望な若手が現れた。新入幕の藤凌駕のことだ。熊本出身の佐田の海を応援していたが、藤凌駕は速攻相撲であっさり寄り切った。出世が早くてまだ髷が結えないそうだ。十両に陥落した佐田の海の取り組みをテレビで見たいので早く幕内に復帰してほしい。 2)幕内上位の常連だった翔猿が前頭十三枚目だということに驚いた。カモにしていた千代翔馬に負けたのを見ると時代の流れを感じた。 3)寝屋川出身の豪の山は電車道で圧勝した。突き押し相撲が上位に通じず迷った時期を経ての今がある。突き押しを極めてまた上位に挑んでほしい。 4)平戸海は初日に王鵬、二日目に大栄翔を破り二連勝。今場所は三役を期待できそう。 5)義乃富士は安青錦を攻め続けて攻略。怪我なく育てば大関になる器だと見ている。 6)豊昇龍は押し込まれていたが、かろうじて白星を拾ったという感じ。 7)熱海富士と大の里の現役最重量1位2位対決は迫力満点だった。熱海富士は強くなっている。大の里は本調子ではないようだ。 追伸)今日の午後、牧師先生一行が来られて、家族礼拝が取り行われた。ありがたいことである。

野球の日韓戦

 NetflixがWBCの独占放映権獲得というニュースを見て、加入しているから視聴できると安心していたが、一昨日の日本対台湾の試合をNetflix上で検索すると「視聴できません」の文字列が表示された。これは地域コードということで、権利の問題は地域ごとに事情が異なるので日本と韓国では視聴できる映像は異なるのだ。従ってVPNで日本のネットに接続して日本のNetflixに加入してWBCの日本戦を視聴する以外の方法はない。その唯一の例外が昨日の日韓戦だ。なぜならば、韓国の試合は韓国のテレビで放送されるからだ。こんな時は次男に頼むのが早い。俺は「野球の日韓戦がテレビで視聴できるか調べて」というメッセージを外出中の次男に送った。 しかし、試合開始時間の19時過ぎても、それから一時間経っても、返事が来ない。「ネット速報で試合経過は見れるし、このまま待機しているのも悪くない」と諦観していると、四回裏に妻からお呼びがかかった。次男に送ったメッセージに既読表示が付いていたので次男から妻に連絡があったのだろう。兎にも角にも、韓国の地上波でWBCの日韓戦を観戦できることになった。 印象に残ったことは投手の心理だ。両チームの投手陣は国内リーグでは無双の活躍をしていたから代表に選ばれたはずだ。そんな百戦錬磨の投手たちでも、一点もやれないとか、カウントが悪くなるとかの不利な状況になると、突然制球が乱れたりする。五回表の同点ホームランと七回裏の逆転打と八回表の危機にそういう場面が現れた。特に七回裏、牧が四球を選び、周東が代走、牧原が三振する間に周東が二盗を決め、代打の佐藤が一塁ゴロの間に周東が三塁に進み、この時点で二死だが、当たっている大谷を敬遠、近藤で勝負すればいいのに四球、鈴木にも押し出しの四球、吉田にセンター前二点タイムリーを打たれるという投手の自滅としか思えない状況でも、打者からの威圧感や同点の緊張感と圧迫感が投手を萎縮させることが見て取れた。 さておき、今後日本の試合を観戦するためには韓国の上位ラウンドへの進出が不可欠となる。MLBで活躍する菊池を打ち込み、前回優勝の日本と接戦になったことで気勢も上がっているだろう。日韓を応援しながら今後の戦況を見守りたい。 追伸)鹿島が4連勝で首位。5月2日に井上対中谷のタイトルマッチが決定。平戸海は初日白星。秋元はKO勝ち。藤井対永瀬の王将戦...

スターリンクとスカイネット

 ロシア軍のスターリンクへの不正アクセスを遮断したらロシア軍の無人機の精度が大幅に下がったというニュースを見た。スターリンクとは数千機の小型人工衛星で張り巡らされたインターネットのことで、地球上のどこからでも接続可能という特性がある。これはすごいことだ。今まではその重要性を軽視していたが、冷静になって考えると、中継局やケーブルを敷設しなくても、海上であっても森林であっても、北極のような僻地であっても、空からでも、インターネットに接続できるのだ。恐ろしいことに、スターリンクを所有し管理するのは民間企業だということだ。このような軍事にも深く関わる全世界的なインフラを国家でもなく国連でもなく一民間企業が構築したという事実に驚きを禁じざるを得ない。 その民間企業とはスペースXで、言わずと知れたイーロンマスク氏がたち上げた宇宙開発企業だ。ロケット打ち上げの費用を劇的に下げて、去年は165回の打ち上げに成功している。この凄まじい回数の打ち上げがスターリンクの拡充を支えている。 軍事にも活用されるというのは映画「ターミネーター」のスカイネットを連想させる。戦闘機の無人化がなされ、スマホのカメラが知らぬ間にハッキングされる、一般市民は自由に生きていると錯覚させるような地球規模の超監視社会が到来するかもしれない。 そうなったら、国家間の紛争や内戦がスカイネットで裁かれ、スカイネットの軍事力が行使された結果、争いは無くなり、案外、現在よりはるかに平和な世界が実現するかもしれない。

卒業式

 俺はモテない。モテたことがない。言っておくが、「あばたもえくぼに見える」恋愛とモテるという概念は異なる。モテる奴が浴びる視線と俺へのそれは明らかに違う。喩えて言うなら、芸能人と俺を比べるようなものだ。人々はスターを追い求めるものだ。背が低い、糸くずのような細目、気の利いたことも言えない口下手にして無口、髪型にも服装にもセンスがない上に関心もない、俺にはモテ要素を見出すのが困難で、モテる奴を羨望の眼差しで見ていた。 そんな俺にも一筋の光が当たった瞬間がある。あれは忘れもしない中三で迎えた卒業式の日だ。ここで本題とは離れるが、当時の卒業式の様子を振り返ってみる。在校生は「ご卒業、おめでとうございます」などの全員で発する掛け声や合唱の練習に結構な時間を費やす。高校受験の時期が過ぎたら卒業生も合流して入念なリハーサルを重ねて本番に臨む。卒業式を見に来る保護者の印象を良くするための練習だし、リハーサルを重ねると本番の感動が薄れそうだが、練習をしたからこそ生まれる独特な緊張感があり、俺としては嫌いではない。ただし、指導する先生方の労力や責任感は並大抵ではなさそうだ。卒業式当日は高村光太郎の詩が朗読され、練習では披露されることがない先生一同の合唱が始まる。普段は強面の先生方が「空の青さが好きだ」という歌詞で始まる歌を野太い声で歌うのを聞くと涙腺が崩壊する生徒が続出する。盗難防止のために学校中の壁掛け時計が撤去されることと体罰教師に対する復讐を敢行する風習が残っていたことも付け加えておく。新聞沙汰になるほど荒れた中学校だった。 さて、本題に戻ろう。卒業式後、各学級でのホームルームが終わるといよいよお別れとなる。そのとき、同じクラスのS子さんからセーラー服のスカーフを渡された。S子さんとは中三の一年間だけ同じクラスで、まともに会話したこともない。そもそも、S子さんは副担任の先生に片思いしていたはずだ。卒業後一度も会ってないので、S子さんの真意はわからないままだ。推測するに「S子さんはスカーフを渡す相手を探していて、本気の好意と思われないで受け取ってもらえる人がその条件だった」のではなかろうか。俺は非モテの本領を発揮して、スカーフを受け取るだけで何のお返しもしなかった。その後、スカーフは俺の学習机の鍵付の引き出しに保管されることになる。大学に入学してからもその机を使っていたし...

地上の太陽

 核融合発電について生成AIと壁打ちしてみた。きっかけはNHKで放送されたITERの特集を視聴したことだ。ITERとは核融合発電の実現を目的とした国際科学プロジェクトで、その番組ではITERの要職に就く日本人技術者に焦点を当てていた。 核融合を起こすための温度である1億5千万度を原子炉内に閉じ込めようとするとき、巨大なコイルでプラズマを発生させ、その温度を空中で実現させることが、フランスで建設中の実験炉の理論的枠組みらしい。「ほうほう、そんなとこまで実現しているのか!?」と頼もしく思ったが、番組を見終わったときには「ダメだこりゃあ。実用化はもっと先の話だな」という正反対の感想に至った。何故ならば、巨大コイルの扇形状の部品を円形に組み立てる際にズレが生じ遅延している場面の映像を見たからだ。そんな状況でうまくいくはずがないと思ったし、「そういう仕事はITERが請け負うものではなく、巨大コイルを制作した企業の仕事だろう」と思った。 核融合発電が実用化されたら、海水から抽出可能な重水素と三重水素を融合させて莫大なエネルギーを生み出せる上に深刻な汚染物質は生じないという地上の太陽が生まれることになる。それは全人類を救うエネルギー革命に他ならない。リターンが無限大に近いからこそ、総額3兆円前後のプロジェクトに各国が投資し続けるのだろう。現在のところ、ITERの発電実績はゼロだが、このプロジェクトに携わった人々が指導者になり、ブレイクスルーを生み出せる人材を育てるという核融合発電研究を太い幹にしていく役割を担っているのだろう。 ITERは2050年代での実用化を目標として掲げているが、その瞬間まで寿命が続けばいいなあ。

温泉巡りの旅 3)死海

 ドイツ人のフローリアン、中国人のパン、日本人の俺が死海ツアーの参加者だった。時は1998年5月、場所はイスラエルのとある大学、フローリアンは長身で優等生タイプのイケメン、パンは「家族を養うため出稼ぎに来た」というくらいの年輪がその顔に刻まれていた。俺らはポストドクターで同じ部屋で研究していた。フローリアンは俺と同じ分野の研究者で「上司に言われたことをソツなくこなす優秀な奴だった。パンの専攻分野は覚えていない。さして英語が上手くない中年のパンがどういう経緯で若手の修行の場であるポストドクターに採用されたのかも謎だった。ある日、フローリアンが「週末に死海に行く予定だが、暇なら同行しないか?」と皆に聞こえるように言った。社交辞令かどうかは考えず「暑くなって来たし、案内してくれる人がいたら此れ幸い」と思い、手を挙げた。こうして、風貌や背景が異なる、親しいわけでもなく、食事を共にするわけでもない三人の珍道中が始まった。 行き先はエンボケック、日本から持ち込んだ黄色のガイドブックによると、高級ホテルが立ち並ぶリゾート地とのことだ。ツアーは日帰りだし、日本円が強い時代だったので、「高級ホテル、なんぼのもんじゃい」という気勢だった。ただし、パンにとってはそうでなかったようだ。昼食のビュッフェ料金が高いと言い出し、別行動することになった。その当時は「せっかくの機会だから楽しめよ。リーダー役のフローリアンを困らせるなよ」と思っていたが、現在の米国の物価を体験するとあの時のパンの気持ちがわかるかもしれないと反省している。 死海はその塩分濃度の高さから生物が住めないことがその名称の由来らしい。イスラエルの5月は日本の真夏で、ビーチでは涼を求める観光客でごった返していた。常に浮いているので手漕ぎボートの要領で水をかくと推進力が得られ、沖まで行くことができたし、孤立しても恐怖を感じることはなかった。砂浜に戻ると、体に付着した海水が蒸発して体中に塩の文様が浮かび上がった。フローリアンはビーチで走ってくる若者たちの水しぶきが顔に当たり、「ありがとうよ」と言いつつも辛そうだった。パンは「着替えはどこでしたらいい?」「帰りはいつになる?」とかどうでもいいことをフローリアンに尋ねていた。フローリアンは「俺はお前の母親ではない」と笑顔で突き放していた。 死海観光は楽しかったが、三人の結束が高まっ...

イランに空爆

 米国とイスラエルがイランを空爆して最高指導者であるハメネイ師を殺害した。ロシアがウクライナ侵攻を開始したときは「明確な国際違反だ」「武力による現状変更を許してはならない」などと国際秩序を守る立場からの発言を繰り返していたのに、実は国際社会というのは暴力団同士の縄張り争いで、「俺たちは警察側だ」というのは錯覚だったことが露わになり、それまでの自分を否定されたような気持ちになる。 そうかと言って、米国を「テロ支援国家と見なす国の指導者をテロで殺害するなんて!」「巻き添いになった民間人の人権はどうなるのか?」と非難することもできない。東京周辺には横田や厚木や横須賀などの米軍基地が集中していて、いじめっこを非難して新たないじめの対象となることを恐れる心理が働くからだ。他の同盟国に歩調を合わせて「イランが核兵器を所有すること容認できない」と言うのが最善の対応だろう。 ベネズエラと同様に空爆を一般市民がどのように受けとめているのか伺い知れない。「圧政に苦しんでいる人々が大多数で、トランプ大統領は彼ら彼女らのヒーローだ」というふうに考えることができたら、どんなに楽な気持ちになるかと思う。 この手のニュースを見るたびに淀んだ気持ちになり筆が鈍る。