あしたのジョーを読みたくなった
漫画家のちばてつや氏が他界した。彼の代表作はなんと言っても「あしたのジョー」だろう。ゴルフ漫画の「あした天気になあれ」もほぼ全巻持っていて愛読していたが、社会的影響を考慮するとやはり「あしたのジョー」に軍配が上がる。というか、「あしたのジョー」は日本の漫画史に燦然と輝く名作中の名作なのだ。数多の良作ではたちうちできるはずがない。しかし、「あしたのジョー」は彼単独で描かれた作品ではない。原作は梶原一騎、作画はちばてつや、二人の稀有な才能が交わったからこそ生まれた作品と言える。
俺もこの作品から多大な影響を受けた。彼の追悼を兼ねて「あしたのジョー」で印象に残っている場面を列挙してみる。
1)喧嘩っ早いのに子供に慕われる矢吹丈は当時小学生だった俺には新たなヒーロー像だった。少年院での生活も未知の世界を覗き見る新鮮さがあった。マンモス西がパラシュート部隊と称して腹の上に降ってくる場面には肝を冷やした。丈が豚に跨って脱走を試みた時、力石が豚の大群を華麗なバックターンでかわし、丈を殴り倒した場面は美しすぎて見とれてしまった。丈とは対極の生い立ちの白木葉子が見守る中でのクロスカウンターも美しかった。ああいう一瞬の静寂を描く画力はちばてつやならではだと思う。
2)丹下段平の葉書による通信教育はボクシングという競技への理解を高めた。丈も次第に競技愛が芽生えてくる。少年院で青山が丹下の指導を受け、めきめきと強くなり因縁をつけてきた奴を血祭りにした場面に狂気を感じた。丹下は丈を意図的に無視して青山を通してフットワークの重要性を教えようとする。その過程での丈の表情の変化もちばてつやの画力の賜物だと思う。
3)丈に負けたウルフ金串はプロボクサーを引退した後にヤクザの用心棒になる。裏社会と直結していた当時の雰囲気を少年漫画誌でよく伝えられたなと思う。力石の減量やその減量が原因で死に至るとか、パンチドランカーになったカーロスリベラとか、ハリマオに潰されて再起不能になる滝川とか、ボクサーの負の面をよく描いたなと思う。
4)紀子は丈に気があったが、丈の「真っ白に燃え尽きたいんだ」発言に愛想をつかしマンモス西と結婚する。その過程で紀子の表情が雄弁に状況を物語っていた。
5)ホセメンドーサの強さは至る所で現れる。カーロスを廃人にしたコークスクリューパンチ、打たれても平然としている不死身の肉体、丈の肩を軽く触ってつける痣、街中で喧嘩を吹っかけた丈を一撃で失神KO、等の伏線があるから判定負けでも納得の最終回になったと思う。そして最大の伏線回収は葉子の告白だ。控室では茶化していた丈が試合後に「あんたにもらってほしいんだ」とグローブを渡した場面は今でも涙が出てくる。
6)丈は喧嘩っ早い性格はそのままに時に詩的に知的に自己や外部を分析する。俺の脳内では漢の中の漢なのだが、そのヒーロー像は時代を超えると信じている。ちばてつや氏の訃報をきっかけにして新たな読者が増えることを願っている。
名シーンだらけだね。ホセ戦でうつろな目で青コーナーに帰る姿が好きでした。何度でも立ち上がる姿が好きでした。マンモス西の鼻からうどんを出す姿が好きでした。ゴロマキ権藤はこわかった。あおい輝彦の声もよかったね。
返信削除SK
返信削除ウルフ金串を倒したトリプルクロスには興奮しました。ウルフに控室で喧嘩を仕掛け、クロスを決めたときもすごかった。なんと言っても東洋太平洋王座を取った金龍飛戦です。朝鮮戦争エピソード、舞舞、曹軍曹、子供心に強烈に響きました。
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