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10月のトリセツ

 今月の俺の取り扱い説明書を作ってみた。 1)シーツを交換するとき、俺が寝たままの状態で遂行される。妻は俺の体を反転して半分ずつベッドメイクを行うのだが、その際に首が少々捻れることがある。客観的に見ると、落床の心配なく安全にシーツ交換しているように見える。しかし、首が全く動かせない俺には脊髄が捻切られるような感覚に襲われて、精神的な圧迫を感じている。面倒を承知でお願いするが、目を見て大丈夫かどうか確認してほしい。 2)これまた些細なことだが、マスクに付いているゴムが耳の後ろに食い込んで痛い。どういうわけか右耳だけが痛い。対策はマスクの口の部分を引っ張らないことと右耳の後ろに軟膏を塗ることだ。 3)俺の左手は浮腫みやすい。普段は枕に左手を載せて血行が良くなるようにしている。しかし、食事の時はその枕が邪魔になるので、一旦隣の寝台に枕を移動することになる。問題は食後になっても左手は放置されたままだということだ。些細で面倒であることは百も承知だが、左手にとっては深刻な問題であることを理解してほしい。 4)俺はよく「尋ねたことに返事をしないで、他のことを要求する」と非難されるが、それには理由がある。歯ぎしりが鳴らなくなってしまってから、誰かに助けを求めるのが困難になった。誰かが来て目を合わせてくれるのは千載一遇の機会で、その誰かが尋ねたいことをわかって去ってしまうのを恐れる心理が作用しているからだ。その対策は去り際に「他の用事はあるの?」と尋ねることだ。 5)「ヒザが痛い」と言ったとき、両足の膝関節の曲げ伸ばしを繰り返してほしい。 6)こちらの要求ばかり書いたが、「いつも介護してくれてありがとう」と思っているし、「迷惑ばかりかけてごめんね」と思っている。

明るい未来

 ここ数日間、鈴木先生とメールをやりとりしてAIについて議論している。もっとも議論とは名ばかりで、俺が一方的に教えてもらっているだけだ。今回は鈴木先生にお聞きしたいことをまとめてみた。 有史以降、人類は地球上の生命体の中で最も知能が高い生物として君臨してきた。人間を補食しようとする動物を撃退し、家畜を飼い、魚を取り、食物連鎖の頂点に立ってきた。その際たる理由は人類が飛び抜けて高い知性を有していたからだ。ハエを殺しても罪に問われないし、不妊バエを作って種を絶滅させることもできる。そんな絶滅の仕方をハエは想像することはできないだろう。 最近のテレビニュースを賑やかしているのは「AIが人類を滅ぼす」という危惧と警鐘だ。その憂慮は当然だと思う。人間がハエに見えるほどの高い知性を有するAIが誕生したら、人類は初めて高度な知性に直面することになり、人間がハエに対して行使してきた生殺与奪権をAIが所有することになる。それは恐怖そのもので、人間はAIの家畜になり、いつ屠殺されるかと怯えて暮らすことになる。あるいは、家畜が自らの死期を心配したりしないように、人間もAIの支配に気付かずに一生を終えるかもしれない。 ここで質問したいのは「果たしてそのような高度な知性が誕生するのか?」ということだ。AIとは言え、人間の営みをベースにして推論を行っているのだから、せいぜい人類の叡智の総和に毛が生えたものくらいじゃないの? 自己改善型で際限なく知性を向上させることが可能だとしても電力量は有限なので限界があるだろう。そもそも、geminiやChatGPTのように一般に開放されたAIなら、AIの実体は何だろう?どこかの敷地に建設された構造物なのか?AIに自我、もしくは自我まがいのものはあるのか? AIの覇権を握っても他国が開発をやめるわけではないから、近いうちに「人類を滅ぼす可能性があるAI」が乱立するのでは? そんなとき、最先端のAIは防御壁になってくれるのだろうか?  人類にとっての明るい未来はあるのか?