ノーベル賞とフィールズ賞

今年のノーベル化学賞は二人が受賞し、そのうちの一人は日本人だった。発表された昨日はそのニュースでネットもテレビも賑わっていた。毎年この時期になると、ノーベル賞の各部門の受賞者とその研究分野にスポットライトが当たる。自然科学には物理、数学、化学、生物、地学という並びがあるのに何故か数学者が受賞する部門がない。そういうものだと言えばそれまでだが、ノーベル数学賞がないのは数学界にとって大きなマイナスだと思う。数学界で最高の栄誉はフィールズ賞だが、4年に一度4人の受賞者を発表する形式のために日本のマスコミは日本人受賞者が現れない限り無視に近い態度を取る。すなわち、自然科学の数学以外の分野は毎年プロモーションの機会があるのに数学だけはその機会がほとんどないのだ。自然科学を記述する上で不可欠な数学をここまで蔑ろに扱うとはアルフレッドノーベルも罪な男だなと思う。

このような感じで毎年恨み節を吐くのだが、今年ばかりは事情が異なる。むしろ、「2030年のフィールズ賞はどのような選考基準で選ばれるのだろう?」という心配をしている。事の発端は長男が送ってくれた以下の記事だ。

https://finance.biggo.jp/news/1d522643-5fd9-4ac5-ae86-e4a5b99edfe2

なんでもAIが難問を解いて数学者が激怒したという内容だ。数学界のトップと言われる人々でも歯が立たなかった未解決問題をAIは3時間で片付けたらしい。これからは難問を解いてもAIの関与が疑われるし、数学に精通している人よりAIに精通している人が結果を出せる、そうすると、これまでの選考選考基準はそのままでいいのか、という話になる。

今年を境に数学者の価値が大暴落した。生き残るのは問題を解くことに特化した人でなく、問題を解く過程で新しい理論を構築できる人だろう。改めて無味乾燥な代数方程式に対称性を見出したガロアは偉大だと思う。だが、創造性に特化してAIに下働きさせる人が何人いるか全く想像がつかない。

正直な話、俺は大海を漂流しているような絶望と無力と喪失を感じている。昔に戻りたいと思う。

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