夜の散歩道
昨晩の19時、妻が「外は涼しいし快適だから外出しよう」と言い出した。俺にとっては「今さっき思いついたような突然の申し出」なのだが、妻にとっては「虎視眈々と外出に連れ出す機会を伺っている故の申し出」なのだ。妻の「蚊が出る季節の前に行こう」という勢いに押され、俺は「準備に時間がかかって出発が遅れ、同行する長男と次男から行く行く詐欺と言われそうだ」と思いつつも、渋々ゴーサインを出した。
長女は図書館で勉強中、三男は林間学校で不在、そんなわけで、俺、妻、長男、次男という珍しい組み合わせで20時40分に出発となった。アパート敷地の勝手口から出るのはいつもと同じ、今回はいつものコースを逆回りすることになった。
夜の外出は久しぶりだ。一昨年に救急車で搬送されて以来だ。車椅子に乗っての夜の外出は釜山に戻ってから初めてだ。久しぶりに月を見た。夜の街並みには昼とは異なる趣がある。産業道路を走る自動車の群れが発する光の流れは決して再現されないイルミネーションだ。古代人が現代に連れて来られたら、息を飲んで見入ってしまう光景であり、現代人であってもドバイに展示された有名アーティストの作品だと言われたら見入ってしまうと思う。歩いていると、「ここは千五百ウォンのコーヒー代で3時間勉強したハンバーガーチェーン店だ」とか「よく行ったあの店がパン屋に変わっているなあ」とか「この川の下の遊歩道を走っていたのに」とか「ここの鮟鱇鍋は激辛だったけど美味かった」という思い出に浸っていた。
妻は「長女とこの道を歩きながら色々なことを話すのよ」と言って、「楽しくて仕方ない」という様子で長男に話しかけていた。そんなとき次男ははるか前方を一人で歩いている。それは妻子を置いて一人で目的地まで行ってしまう20年前の俺の姿で、そのたびごとに妻から非難されたのだった。自宅に戻ったのは21時40分、やはり外出すると視覚と聴覚が刺激され、色々な考えが浮かんでくるものだ。
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