1分小説 10)「暇つぶし三昧」(560字、AI補正無し )

 バックパッカー歴5年の島野はシカゴ市内の某大手 ハンバーガーチェーン店にいた。
「通常メニュー販売開始まであと15分か。店内で待っても文句は言われないだろう」と考え、テーブル席で安宿を探すために地図を広げていた。島野は「旅行中はスマホを持たない」という先輩からの教えを実践していた。

間もなくして、冷蔵庫のような体格をヒップホップ風のファッションで包んだ男と、漫画「ワンピース」に出てきそうな豊満なバストをタンクトップで隠した感のある女が、無言で相席して来た。島野は下ろしたバックパックの背帯に右足を通し、笑顔で二人を迎えた。女は
「何やってんの?」と島野に尋ねた。
「シカゴで一泊しようと思ってたんだが、高過ぎるからグレイハウンドに乗って移動するつもりなんだ」と島野が言うと、男は地図上の通りを指差した。女は
「この通りに安宿があるんだって。どうする?」と聞いてきた。島野は
「思っていたよりいい人なのかもしれない。ここは曖昧な返事でやり過ごすのがいいだろう」と思い、
「午後に訪ねてみるよ。ありがとう」と答えた。即座に女は
「今、ありがとうと言ったな。20ドルよこしな。あたいはマジなんだ」と顔を近づけすごんだ。島野はポケットに手を入れ、世界各国の紙幣を取り出し、
「これで勘弁してくれよ」と言った。女は更に声色を変え、
「ふざけんな。あたいはプロスティチュートなんだ。今すぐそのホテルに行って払ってもらってもいいんだよ」と言った。男はバンダレイシウバのように両手の指を交互に組み合わせ回転させていた。島野は顔面蒼白になり、逃げる方法を必死になって考えていた。その瞬間、店内アナウンスが流れ、二人はスマホで予約したハンバーガーセットを受け取りにカウンターへ向かった。男は島野に聞こえるような大きな声で
「姉ちゃん、名演技だったぜ」と言った。

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