聞け、羽生会長!

 史上最強と謳われ、圧倒的な強さを誇る藤井聡太七冠の年間賞金総額はわずか1億7千5百万円だそうだ。これはあまりにも低い数字だ。彼以外の棋士は更に低い。棋士全体の平均年収は八百万円前後らしい。一年で4人という狭き門を通過したエリート集団の年収が羽振りのいいサラリーマン並みとは。にわかには信じがたい現実がそこにある。これは運営団体である日本将棋連盟の互助会的体質を起因とする怠慢に他ならない。藤井聡太というスーパースターの誕生は将棋界に測りしれない好影響をもたらしたはずだ。その千載一遇のチャンスを営業面において全く活かせてないのが将棋連盟の現状である。そのことを踏まえて次の改革案を提示する。

1)従来のスポンサーとのしがらみのない経営のプロを理事に招き入れ、大鉈を振るってもらう。具体的には斜陽産業である新聞社と決別し、IT業界で新規スポンサーを探す。スポンサー料が従来のものと同額ならば引き手数多だろう。


2)野球やサッカーなどのプロスポーツに比べ将棋は試合時間が長いし集客力も少ない。各棋戦のほとんど全ての対局は衆目に触れず、従ってなんの利益も産み出さない。ビデオゲーム大会が高額な賞金を準備できるのは莫大な視聴者がいるからこそである。将棋界もそれを目指して変わるべきだろう。具体的には週末ごとに2時間の生放送番組を制作する。それは将棋の早指し対局をショーアップしたもので、煽り動画を用いた告知の徹底、対局者の入場を演出、大盤解説の司会に芸能人を起用してAI評価値を開示する権限を与える、前座には芸能人同士の対局、ディナーショーのように円卓に着飾った男女に一流シェフによるディナーを提供してグルメ番組的要素も追加、とにかくエンタメ要素てんこ盛りで一局の将棋の価値を上げていく。そうすると、マスコミが注目して棋士の知名度も上がり利益を産み出すようになるだろう。

3)ゴルフのツアーのように地方のスポンサーを募ってアマもプロも参加できるオープン将棋大会を週ごとに開催する。異なる場所での同時開催を避け注目を集中させる。年度始めに八大棋戦の予選を行い、予選通過者の人数を30人前後に絞り込み、各棋戦の対局料費用を削減。その予選で脱落した棋士たちが地方ツアーに参加する。プロと公式戦で対局したいと思うアマの腕自慢や指導対局気分で参加する人も多いだろう。つまり、プロが参加するというだけでアマ側に高額な参加料を課すことができて、その分だけ賞金も増大する。この制度は実力も人気もない棋士には地獄だろうけど、それがプロとしてあるべき姿だと思う。

4)前述したようにプロ棋士として公認される四段の称号を得るのは年間4人である。しかも26歳以下という年齢制限もあるので、夢破れて将棋しかできないのに将棋から離れて社会に放り出される若者が多数存在する。これもプロの世界の厳しさだが、人材活用という点において勿体無いと思う。そこで提案したいのが奨励会アカデミーの創設だ。奨励会に所属する成人にプログラミングなどの職業訓練やIT企業へのインターンを義務付ける。そうすれば、棋士になるよりも高収入で幸せな人生を送れるかもしれない。何より将棋連盟に恩義を感じ、将棋界のためになんとかしたいという精神が生まれるだろう。入社先で出世して、その会社が新たなスポンサーになるかもしれない。

5)将来有望そうな若年層から選抜して生活費を支給するかわりにYouTubeに出演するという条件で合宿生活をしてもらい、将棋の英才教育を施し、成長の過程を追うドキュメンタリーとしてYouTubeで発信していく。ボクシングの亀田兄弟のように人気を博すかもしれないし、未来のスターを育てるための投資と思えば安いものである。

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