熟成三枚肉
以下は餓狼宴からのシングルカットである。残念ながら、以下で紹介している店はコロナ禍の影響をモロに受けて潰れてしまったそうだ。3月初旬に俺の弟が家族を連れて釜山に来るのだが、同じような店があれば紹介したいと思っている。子供たちに検索してもらおうかな。
焼肉の本場である韓国であっても、国産牛の焼肉を食べるには相当の出費を覚悟しなければならない。
ところが、豚肉となると話は別である。サンギョプサル(三枚肉)と呼ばれる豚バラの焼肉は財布にも優しく、肉汁と脂が多い分だけ野菜で巻いて食べるときに美味さが増幅するのである。
大学の近辺には食べ放題や炭火焼き等の店が目白押しであるが、今日は地下鉄東来駅まで足を伸ばしてみた。同伴するのは釜山旅行中の小学校以来の友人家族である。
その店は一階と二階合せて約400席の収容人数を備えるが、その人気ゆえか、平日の夕方でも順番待ちの整理券を渡された。何度か利用しているが、それだけ多くのお客を呼び寄せる魅力がこの店にはあるのである。
ゆったりと座れる6人用のテーブルにガスコンロが内蔵された鉄板が設置されている。
注文した肉は、肉屋の店頭で並んでいるような大きな薄紅色の塊である。
脂がのっていていかにも美味そうな肉を店員が鉄板の温度を専用のセンサーで測った後、投下する。肉が焼ける音を聞くだけでも幸せな気持ちになる。
そして、片面が焼けた丁度よい時間に店員がやってきて、肉を返すのである。
脱線するが、サンギョプサルは焼き方が重要である。
ほとんど全ての店はその「焼き」工程を客に委ねるが、この店は例外的に焼きの全工程を訓練された店員が行っているのである。しかも、出される肉は熟成された一人前千円相当の高級豚肉である。
両面を焼いた後、鋏で一口大に切った肉を円形の鉄板上に配置した模様も、また美しい。
あとは、肉の切り口の赤身がキツネ色に変わるのを待つのみである。
この店が素晴らしいのは、余計なおかずを置かないことである。
肉をより美味しく味わうための、サンチュ、ゴマの葉、オキアミ、高級そうな塩、各種の酢物のみが付け出しとして出てくる。
やはり、一口目は肉そのものの味を堪能するべく塩で食べたい。
二口目は鉄板で焼いたオキアミが良い。というか、最高に美味い。
三口目は酢物で巻きたい。とにかく、準備された添え物を複数用いたあらゆる組合せが楽しめるのである。
「何、これ、うますぎ」とは同伴者達の言である。
これだけで足りるはずもなく、熟成首肩肉4人前を追加し、完食した後、韓国ソーメンで締めとなった。
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