失われた30年
昨晩10時から放送された「NHKスペシャル、岐路に立つ東京大学」を視聴した。失われた30年を挽回するために大学教育を根本から見直した結果、イノベーションを起こし得る人材の育成に梶をきりつつあるという内容で、AI研究の第一人者と目される松尾豊教授と彼の研究室や講座での活動を通して羽ばたいていった起業家たちが紹介されていた。
一口にイノベーションと言っても実現するのは難しいと思う。何故なら偏差値という単線的な指標で選抜されてきた学生も学問の追求に半生を捧げてきた教員も起業家に必要な「リスクを恐れず計画し実行する」特性が備わっているとは到底思えないからだ。自分の身に当てはめてみても、起業経験はおろか企業で働いた経験もない俺がどうやって学生に「起業してみないか」と言えるのか、という話である。
しかし、松尾教授がロールモデルとするスタンフォード大学ではラリーペイジを筆頭に有名な起業家が名を連ねる。本郷キャンパス周辺には400あまりの東大出身の起業家が会社を経営していて、そのうち二つは上場企業らしい。番組中でも松尾教授は起業を夢見る学生に投資家を紹介していたし、高専出身の起業家に社員確保の助言を伝えたり、ドロップアウトした中卒の青年を研究室に招き入れたり、「この人に日本の未来がかかっているかも」と思わせる働きぶりだった。
失われた30年を本気で取り戻そうとするなら、松尾教授の役割をこなせる教員が全国の各大学で必要だし、俺のようなオールドタイプが意識改革して新しい取り組みに対する理解を深め、少なくとも起業しようとする人とニュータイプを邪魔しないことが大事だと思った。
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