白昼夢
衣服を剥ぎ取られた私は数千の同胞と共に収容所に送られた。そこは闇の世界で朝と夕に天蓋が開く時のみ光が差し込み、同時に同胞の一部が忽然と消えるのだった。収容所の内部は乾燥していてやたらと喉が渇いた。そんな思いを察してか、私にも外出が認められる日がやって来た。久しぶりに見る外の世界、それを楽しんだのは束の間で、別室に送られた。すると、あふれんばかりの大量の水が降って来た。喉の渇きを癒すには過剰だが、水遊びにはちょうどいい。私は童心に返って同胞とふざけ合った。2時間もそうしているとさすがに疲れる。静まりきった建屋が大きく揺れた後で異変が起こった。床暖房が効きすぎるどころか、居ても立っても居られないほど熱いのだ。同胞の何人かは熱さで気を失い水中を彷徨っている。ほどなく私も意識を失った。30分後、幽体離脱した私が見たものは白く変色し整然と並んでいる同胞たちの死骸だった。
米粒の視点を想像してみた。食べるという行為は他の生命を体に取り込む行為である。それが生きるということ、避けられない宿命だが、食べられる側のことも忘れずにいたいものである。
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