ばけばけを批評してみた
NHKの朝ドラマ「ばけばけ」を批評してみた。
1)前作の「あんぱん」の後に見ると、焼き肉の直後に懐石料理が出てくるような感覚を覚えた。「ばけばけ」で用いられている陰影の奥ゆかしさやクスッと笑える日常のセリフは明治時代初期の松江の雰囲気が伝わってくる大河ドラマのような高級感を醸し出しているのだが、前作で味わった焼き肉のタレの味が忘れられずに素直に感情移入できないというのが正直な気持ちだ。
2)ラフカディオハーンをモデルにしたヘブンの行動に一貫性が感じられない。松江に船で上陸したときは手を振って日本語でスピーチをして社交的な英国紳士という風情だったのに、記念式典をキャンセルして、旅館に泊まると言い出したり、英語が通じる錦織を避け続けたり、女中を目医者に連れて行かなかったという理由でお世話になっている旅館を地獄呼ばわりするなどのエキセントリックな人物として描かれているのが気になった。史実に従った結果だと言われれば返す言葉がないが、同じ外国人として暮らす身として看過できないほどの不自然な脚本が気になった。特に唯一英語で相談できる錦織を避けるというのは理解不能だ。英語教師の経験がない新聞記者だったとしても、英語を教えることは容易にできるはずだし、事前にわかっていたことだから、授業を怖がる必要はなかったはずだ。
3)今週に出てきた、名家であった雨清水家の正妻が物乞いをするというのも無理な設定だと思った。地元でそんなことをすれば、噂は街中を駆け巡り増々居づらくなってしまうし、武士の高潔さを重んじる教育を受けて育ったならば、絶対に避けるはずだ。
4)朝の日課にNHKを視聴することが組み込まれているので、朝ドラマを見ないという選択肢はない。今後、上記の疑問が氷解していくことを期待したい。
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