ツーマは気まぐれ

 NHKの「ダーウィンが来た」という動物ドキュメンタリーの再放送を視聴した。その回はマダガスカルに生息するカメレオンの話だった。その一種であるラフォードカメレオンは雨季に孵化してカマキリなどの昆虫に怯えながらハエなどの小型昆虫を補食して体を大きくして3ヶ月で体長20cmに成長する。

妻は寝室と台所を行ったり来たりして家事をこなしている。妻はカメレオンがハエを舌で絡め取る映像に釘付けとなるものの、ずっといることはなく出て行ってしまう。

カメレオンのオスは繁殖期になると同じメスを狙うライバルとの争いに勝って求婚する権利を得る。しかし、テレビにはライバルに打ち勝ったオスがメスに迫ろうとすると、そのメスは真っ黒に体を変色させて拒否の意を示す。それでも諦めないオスを噛みつきで追い払っていたメスを見て、漫画「北斗の拳」のユリアを思い出した。

乾季になると森林の環境が激変して餌となる昆虫は姿を消す。他の爬虫類は乾季の間は冬眠して生き長らえるが、ラフォードカメレオンは遺伝的に寿命が半年で、その間に次世代に命を繋ぐ行動が凝縮されているとのことだった。「卵を地中に産んだメスは我が子の姿を見ることはないのです」というナレーションが流れると、涙が溢れ出した。罰の悪いことに妻が突然入って来て「ハエが可哀想で泣いてるの?」と聞いてきた。事情を説明できない状況が恨めしい。いつの時代であっても繁殖期を終えたオスは孤独なのかもしれない。

コメント

  1. 卵をお腹に抱えたままムカデの毒で息絶えた姿には泣きました。

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