三男の交渉術
視線入力でパソコンを操作する時間は8時間が限度だ。13時から始めて21時前には目が疲れて操作が困難になる。そういうわけで、21時前に電動寝台を折り曲げて座った状態でテレビを見るのが日課になっている。その時間以外はずっと寝たきりなので、上体が起こされて視線が高い位置に変わるのは絶好のリフレッシュになる。その間に子供たちを呼んで頭を掻いてもらう。しかし、この至福な時間の唯一の弱点がアヒルの玩具を押せないことだ。歯軋りで人を呼ぶことも可能だが、歯軋りの音量が出ない日もあるので家族の誰かが付き添うことになっている。
昨晩も三男を呼んで文字盤で「こ」と伝えると三男が「ここに居て」と翻訳してくれて、隣の寝台でipadを扱い始めた。先週、妻が「ゲームばかりして学校の宿題を全然してない」とこっぴどく三男を叱り飛ばした。そのことを思い出し、歯軋りで三男を呼んで文字盤で「や」と伝えると三男は「やめて」と翻訳して、ipadを充電器に繋いで本当にやめてしまった。あれだけ叱られても全く意に介さず翌日からゲームをやっていた三男の意外すぎる従順さに驚いた。
週末で上の子供たちは就寝する雰囲気が全くない。家中の蛍光灯がともった状態で「何もしないでいろ」というのは酷だし、いつもの三男ならばトイレにipadを持ち込んでゲームを続けることができたはずだ。そういう俺の心理を見透かすかのように三男は「本当に駄目?」を連発して懐柔策に打って出る。「明日から22時以降はipadに触らないと約束するなら今日は許す」と言いたかったが、文字盤で伝えるのは難儀だ。「23時まで宿題するから、それからやるのはいい?」と三男は食い下がるが、「5分なら許す」と突っぱねる。
そういった問答を繰り返して、根負けした俺は「お母さんに聞いて」と責任転嫁する策に出る。三男は韓国語で「お父さんがお母さんに聞いてと言っている」という内容を事細かに説明して、堂々とゲームをする権利を得た。恐るべし三男、日頃から大家族の一番弱い立場で鍛えられているからなあ。将来は国際紛争を解決する職に就いてほしい。
当たり前の事ですが、お父さんの言葉だけには従順するように小さい時から強く強調して教えて来ました。それでも4人ともお父さんが大好きで尊敬しているから不思議です。お父さんが読んでいると飛び上がって走って行くからありがたいです。
返信削除俺の娘は俺のことをちっとも怖がらない。
返信削除最近では小言を言ってきます