視線入力事始め

 続塩日記を見返すと、去年の8月14日から視線入力を導入したことが見て取れる。その前日に業者が来て、視線入力システムのセットアップを終えて、使用上の手ほどきをした後、帰って行った。

それまで俺は四回視線入力に挑戦したが、ことごとく「視線の動きに反応して動くポインタが制御できない」という問題に直面した。不思議なことに妻が視線入力を試してみると、ことごとく成功して、「これならできそう」みたいな感想を述べるのだ。妻と俺の違いを分析してみると、「妻は裸眼で生活できるが、俺は何でもぼやける」「妻は目が大きいが、俺の目は糸屑のように細い」が挙げられる。その分析から「俺には視線入力の適性がない」と勝手に思い込んでいた。

しかし、一年の使用期間を経て、「視力や眼鏡の有無や目の造形は一切関係ない。瞳孔が動く限り、視線入力は誰でもできる」という結論に至った。現在でも上手く視線入力できている状態の時でも、吸引等で微妙に視線の位置がズレて制御不能になったりするのだ。導入段階でカリブレーションが上手くいっても実際は視線が合わないこともよく起こる。大事なことは使い続ける過程で視線入力システムの特性を把握して、制御しにくいと感じたら助けを呼んで視線の位置をリセットして設定することだ。

残存する筋肉、例えば、足や噛む力を用いてスイッチのみでパソコンを操作するALS患者を目にする。かつての俺もそれに拘泥していたが、そんな方々に「視線入力の方が百倍楽だし、人生が変わる」ということを声を大にして伝えたい。

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