ドラマの中の戦争
NHKのドラマ「あんぱん」で出征した石屋の弟子が戦死したこと知って親方が慟哭する場面が放送された。
親方役の吉田鋼太郎の演技は素晴らしかったし、そのドラマで戦争の残酷さを訴えたいという意図は感じられたが、その戦争が日中戦争であることに違和感を覚えた。
日中戦争の戦場は中国であって日本ではない。中国側の民間人犠牲者数は一千万から二千万の間と推定されている。ただし日本政府はその数について明言してないらしい。犠牲者の規模は異なるが、現在のロシアに当たるのが日中戦争での日本の立場なのだ。
つまりは一人の戦死者の前方には想像を絶する数の被害者がいるということなのだ。もちろん、大切な人を亡くした遺族の悲しみはまぎれもない真実なのだが、日中戦争の歴史的背景がドラマに没入できなくしているのが違和感の正体だったのだ。
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