落合信彦と湾岸戦争
ケネディ大統領暗殺事件に関する公文書が公開された。これはトランプ大統領による大統領令に従い実現したことだが、オズワルド単独犯行という従来の見解を覆すものではなかった。このニュースを聞いて真っ先に思い浮かんだのが落合信彦だ。
俺が大学に入学した年が1990年、その年の夏、イラクがクウェートに侵攻して、翌年湾岸戦争が起こった。多国籍軍の戦力はイラク軍を圧倒していて、暗闇に光の光線が飛び交う映像を見て「これが戦争なのか?俺たちが学校で習ってきた悲惨で残酷なイメージには程遠く、むしろきらびやかな感じがするぞ」という感想を抱いた。余談だが、体育の授業でバレーボールのチーム分けをする時、相手チームが多国籍軍と名乗ったために俺らのチーム名はイラク軍になった。試合の最中に俺は「アラブ魂を見せてやろうぜ」とチームメイトを鼓舞して試合にも勝った。
湾岸戦争はすぐ終わり、何かしらの釈然としない気持ちを抱えながらも「秩序が保たれたのだから良しとしよう」と自分を納得させていた。そんな時に出会ったのが落合信彦作「2033年の真実」という本だった。その本は「国際情勢の裏にはCIAのような国家諜報機関、オイルメジャーのようなエネルギーを扱う企業、軍産複合体の意向が複雑に絡み合っている」と主張していた。俺はその本にかなりの影響を受けた。湾岸戦争に関する疑問も氷解したような気がした。例えば「サダムフセインとアメリカは内通していて、湾岸戦争は古くなった弾薬を一掃して最新の武器を宣伝し冷戦後のアメリカ一強を印象付けるために仕組まれたものだ。その証拠にフセインはまだ最高権力の座にとどまっているではないか」ということを本気で信じていた。
落合信彦の功罪はその後に語られ、そのどちら側にも頷くところがあるのだが、俺の青春時代を彩ったエンターテイナーとして尊敬の念を抱いている。特に軍産複合体という概念や「アメリカは数年ごとに戦争を起こさなきゃいけない体質を有している」ことやCIAのえげつなさを大衆に広めたのは大きいと思う。さて件の書名は2033年にケネディ大統領暗殺事件の公文書が公開されることに由来している。どこかの報道機関が落合信彦氏のインタビューしに行ってくれないかなと思っているのは俺だけではないはずだ。
追伸)3月25日から一泊二日で入院して胃瘻チューブの交換施術を受けることになった。
I hope you have a safe surgical procedure, and recover from it soon!
返信削除