白と黒のスプーン
Netflix配信の「白と黒のスプーン」シーズン1を見終わった。長女だけでなく妻も興味を示し、一緒に視聴した。同じ作品を多人数で視聴するのは楽しいし一体感も生まれる。家族全員でテレビを見ていた昭和後半は幸せな時代だったのだなあとの思いを強くした。俺の実家では、家族全員が同じ番組を見るということはなく、父はプロ野球、母は読書、祖母はドラマ、のように住み分けが明確だった。それでも父母と見た銀河テレビ小説や祖母と見た「おあねえさん」や弟とのチャンネル争いなどのテレビに関する出来事は懐かしい記憶として保存されている。
今週から「白と黒のスプーン」シーズン2を見始めたが、肝心の長女は寄って来ないし妻もシーズン1ほどの関心は示さない。そんなわけで以前のように一人で見てあれこれ考えている。その番組の魅力は出演する料理人の個性が豊かで、料理対決に敗れて退場になっても決して悪態をつかないことだ。そして、審査員を務めるペクジョンウォンとアンソンジェの実績に裏打ちされた批評の率直さと巧みさが挙げられる。前者は明るく豪快な人柄で韓国で愛されているタレント兼実業家で、大衆料理が専門と言いながらも和洋中のあらゆる料理に精通している。後者はミシュランの三ツ星を韓国で初めて獲得したフレンチシェフとしてつと有名だ。韓国の料理界の二大巨頭とも言える二人の審査だからこそ名だたる料理人も敗北を受け入れられるのだろう。
1999年から20年に渡って韓国の食文化を観察してきた。韓国の調味料は優秀で、大衆食堂であっても学食であっても高い満足度と満腹感を得ることができるが、価格帯が高い店に行っても味がついて来ないという欠点があった。特に和食と洋食にその傾向が強く、高級店で出されたマグロが凍っていることがよくあった。転機となったのが前述のペク氏がテレビに出始めた頃だ。その当時はサムソンが半導体とスマホ事業で躍進し、海外旅行やインターネットで現地の情報が入ってくるようになった時期と一致する。すなわち、「白と黒のスプーン」で出てくる見事な創作料理の数々はそのまんま韓国の食文化と経済の発展を物語っているのだ。
シーズン3では日韓の巨匠と新進気鋭の料理人を集めてやってほしいな。そうすると、審査員をどうすれば公平性を保てるかという問題が生じる。個人的にはペク氏とアン氏の審査体制はそのままにして、彼らを唸らせる日本の料理人を見てみたい。
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