七割問題
以前から言い続けていることだが、今回も「ALS患者の七割が人工呼吸器を装着しない選択をする」問題を考察してみる。
ALS患者の苦悩を一通り経験した立場から言わせてもらうと、「気管切開しない」と宣言をすることは「自然死と偽装した自殺」を意味すると主張したい。そして、人工呼吸器の装着を推奨しない医師は合法的な自殺幇助に加担していると自覚してほしい。
もちろん、ALS患者の症状、介護環境、経済状況は千差万別で、各々の死生観や事情も異なり、一概に言えることではないと思うが、七割は多過ぎる。きっとその中には「前もって知っていたら気管切開に同意したのになあ」と考える人が多数いるに違いないのだ。
気管切開したら声を失うし、人工呼吸器を装着したら24時間の介護が必要になる。前者は正しい。意思伝達手段の最たるものがなくなるのは恐怖だろうが、技術の進歩で補えることも多い。俺の場合は、パソコンに接続している間は自由に助けを呼べるし、そうでないときもアヒルのおもちゃと歯ぎしりで対応している。後者も正しいのだが、「介護者が目を光らせているわけではない」ことを強調したい。俺の場合は、痰吸引できる家族の誰かが自宅にいるというルールがあるだけで、その誰かも別室で好きなことをやっている。痰吸引も気管切開の効能で小学生もできる手軽さだ。俺も家族に迷惑をかけるくらいなら死んだ方がマシだと考えた時期もあったが、今では生きていてよかったと思っている。皆さんも後者を額面通りに受け取ることはゆめゆめしてはいけない。「気管切開の向こう側にある生き甲斐や幸せの可能性を閉ざすことなかれ」と声を大にして言いたい。
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