海外放浪記 15)

 これまでの海外旅行や海外出張を古い順に並べてみた。なお、前回は次の通り。

https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/07/14.html

15)台湾、台北と高雄。2002年12月末。台湾での半年の滞在を終えて韓国での生活が始まったとき、親戚等の集まりで台湾の暮らしが話題になると「寝ている時にヤモリが天井から落ちてきた」「風呂場にヒルが出てきた」「雨季は洗濯物が全く乾かない」「バイクに乗っている人がやたら多くて粉塵がすごい」などと幸福に満ちた新婚生活をカモフラージュするために、あえて台湾での苦労話を中心に話していた。それを聞いた人は「そんな国でよく暮らせたなあ」という印象を抱いたかもしれないが、俺と妻は「あばたもえくぼ」の諺そのままにそんな苦労話も愛しい記憶として語っていた。

同年5月には第一子である長男が産まれた。台湾は妊婦に優しい国で身重の妻がバスや電車に乗ると必ずと言っていいほど席を譲ってくれる人がいたし、台湾の友人たちも最大限の配慮をもって妻に接していた。俺は新しい職場で多忙であったが、台湾でお世話になった人々に会ってお礼を言いたいという気持ちは募るばかりで、台湾訪問の機会を虎視眈々と狙っていた。乳飲み子を飛行機に乗せて海外旅行していいのかという疑問もあったが、妻の担当医から「全然大丈夫」と言われて妻もその気になった。

俺と妻と長男で飛行機に乗るのは初めてだ。台北では友人が予約してくれたホテルに泊まり、結婚式を挙げた友人夫婦を祝福し、一年前に住んでいたアパートを訪ね、H教授夫妻とC教授夫妻それぞれの自宅にお邪魔して、長男の記憶には残ることはないと思いつつも動物園に行って過ごした。そこから電車で高雄に向かい、友人兄妹の実家でご馳走に預かり、楽しい時間を過ごした。当時の写真を見ると、浮かれた俺の様子が見て取れる。

残念ながら、それ以降に台湾に行ってないし、持病のためにこれからも行くことはないだろう。しかし、妻子は別だ。いつの日か家族旅行で台湾に行って思い出を伝承してほしいと切に願う。



コメント

このブログの人気の投稿

まだ六割残っている!

取説(コメント投稿に関する注意書き)

九州の女