「あんぱん」の主人公に物申す
好評を博している朝の連続ドラマ小説「あんぱん」の主人公を批判してみた。
1)戦中は筋金入りの軍国少女だった主人公だが、戦後になると「子供たちに間違ったことを教えていた」と悔い改める。この物語の主題の一つである「逆転しない正義」を追い求めるためには戦後の新たな政治体制にも疑いの目を向ける場面があってもよかったのになと思う。そうでないと、主人公の思想の変遷は単なる体制迎合になってしまう。
2)現在、再放送中のドラマ「とと姉ちゃん」で主人公を演じる高畑充希は表情が豊かで、回が進むごとに存在感が増し感情移入するようになった。演技派として名高い大女優と比較するのは酷かもしれないが、「あんぱん」の主人公を演じる今田美桜は脚本や演出の関係で優等生発言ばかりの感情移入しにくい損な役回りを強いられているような気がする。夫との久々の再会の場面でも駆け寄って抱擁することもなかったし、戦地から帰ってきた幼馴染にも「生きちょったかい?」とつれない対応だったし、ヤムおじさんが葬儀に訪れた時も一瞥しただけで表情を変えなかったし、編集長との別れの場面でも「今までありがとうございました」という普通の挨拶だった。猪突猛進で思ったことはすぐ口から出てしまい後で後悔するというのが主人公の幼年期のキャラクター設定だった。大人になってその片鱗さえ見れなくなったのは寂しいの一言だ。
3)これまでに数々の名場面があったが、主人公が名場面の主役であったことは一度もない。名脚本家として知られる中園ミホのことだから、主人公が再婚するまでの流れで主人公が躍動する壮大な仕掛けを準備しているはずだと期待している。
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