先生の日

 韓国で5月15日は「先生の日」だ。ハングル文字の開発を命じた世宗大王の誕生日に由来するらしい。しかし、祝日ではない。経験がないのでよくわからないのだが、学校では先生に敬意と感謝を伝え、ちょっとした贈り物をしたり、イベントがあったりするらしい。

韓国では先生に対する尊敬や憧れの度合いが日本と比べて明らかに高い。特に数学の先生は憧れの職業で、俺が釜山大学で勤務していた期間では数学教育科の偏差値が数学科のそれより高かった。呼び方も「様」を意味する「ニム」を付けて呼ぶし、体罰教師の名字を呼び捨てする文化で育った俺にはちょっとしたカルチャーショックだった。

その風向きが変わったのが2016年、韓国の行き過ぎた接待文化に制限を加えるキムヨンラン法が施行された年だ。年長者が同行者全員の食事代を払ったりする文化があるのだが、それは時として利益供与や賄賂になることもある。韓国ドラマ「おつかれさま」でも父兄が教師に金品を渡す場面が出てきたが、そういう行為を違法だと認識させる法律がキムヨンラン法だ。

俺は戸惑いながらも「これが韓国の文化なんだ」と考えて、指導する学生たちからワイシャツやリュックサックなどの贈り物を受けとっていたが、2013年に「学位や研究費の配分に関わる立場にいるんだから情に流されることはあってはならない」と思い、贈り物を禁止する代わりに食事会をすることにした経緯がある。キムヨンラン法の制定が議論され始めたのが2012年だから、奇しくもその時期と一致する。なんだかよくわからない論理展開と結論になるのだが、純粋に慕ってくれた学生たちの思いは十分に伝わっているし、得難い学生たちと切磋琢磨した時間は幸せだったなあと心から思うと伝えたい。




コメント

  1. Thank you for all your concerns toward students! You are the best teacher! Thank you prof. Hirasaka!

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  2. 3代続けて先生?
    4代目はどうですか?

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