米国に集まる頭脳

釜山大学数学科で働いていた時に驚いたことがある。それは韓国の学生の上昇志向と海外志向の高さだ。俺の人生では敷かれたレールの上を移動することが当たり前だったので、学部より格上の大学院を目指す姿勢は余計新鮮に映った。

釜山大学数学科の修士過程には留学の準備のために来ている学生が年毎に二三名いたし、彼ら彼女らの指導教官も留学経験者だった。彼らは修士の二年間で集中的に英語の勉強をして、TOEICの点数を上げる。数学検定試験は主に計算問題で問題ないらしい。そうすると、米国の大学院に入学する道が開けるのだ。「学費や生活費はどうするんだろう?」と思ったが、米国の大学院の入学許可は授業料免除やティーチングアシスタントなどの雇用の約束と共に出されるそうで、その月収は米国での一人分の生活費に相当する額らしい。もちろん、他の受験生との競争に勝つことが前提だが、彼らのほとんどは生活費補助の条件を勝ち取って留学していった。

言うなれば、この資金力こそが全世界の優秀な頭脳を米国に集める源泉であり、米国が世界に冠たる科学技術力を有する理由なのだ。

先日、トランプ大統領がハーバード大学の助成金を凍結すると言い出した。その理由が反ユダヤ的学生運動の取り締まりが不十分だと言う。ハーバード大学は法廷で争う構えらしい。俺の目には「自らの首を絞める」行為にしか見えないのだが、トランプ支持者の目には「エリートたちが苦しむ」姿が見えて快感とでも思っているのだろうか?

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