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シン数学界

 元数学者として言及を避けては通れない記事を見つけた。 https://news.yahoo.co.jp/articles/414c39d10b7cbf10a7755a6db4ccbcf3db7555ba 上記は「ナビエストークス方程式の解の存在と滑らかさに関する問題」の一部をAIが解決したという記事だ。 「とうとうここまで来てしまったか」というのが第一印象で、日が経つにつれ、これからの数学界について不安を募らせるようになった。 数学の発展形態は多様で、実用から生まれる分野もあれば、飛び抜けた天才が新しい概念を提示して始まる分野もあれば、数多くの数学者が長い時間をかけて少しずつ積み上げて発展する分野もある。 AIが上記の問題を解いたという事実は論文を書き小さな結果を堆積させる数学者の営みを無いものにする可能性を秘めている。苦労して論文を書いても「どうせAIを使っているんだろう」というそしりを払拭できないだろう。数学の問題を解いていると行き詰まることの連続で、「何とかしてこの苦境を乗り越えたい」と思うことは自然だ。従来であれば、過去の論文を調べるとか専門家に意見を求めるとか共同研究を持ち掛けるとかが関の山だった。現代であれば、AIと壁打ちするのが最も手っ取り早い。そういう衝動を抑制できないし、AIとの壁打ちを通してインスピレーションが得られたら「AIを使ってない」とは言えない。これからどんどんAIは発達するだろうから市販のAIとの壁打ちでも研究成果が出るだろう。そうなったら、新しい結果を出すという能力が低く評価され、新しい概念を提示する能力が高く評価される。そんな変化の中で生き抜いて行かなければならない若手数学者は非常に難しい舵取りを強いられるだろう。 彼ら彼女らの未来を憂慮すると共にAIと共存する新しい数学界を築いてほしいと思う。

領事が家にやってきた

 今日の午後、看護師と物理療法士の方々が来られた。看護師さんが血圧を測り、物理療法士さんのマッサージが始まった。パソコンに繋がれているので会話が可能だ。なんでも昨日まで旅行に行っていたらしい。旅行先の写真を見せてもらったが、海は青く緑は鮮やかで夕焼けが美しい場所だった。 同じ時間帯に在釜山日本領事館の領事が来られた。その訪問は事前にわかっていた。その経緯を説明しよう。俺のパスポートが更新の時期を迎え、半年後に期限が切れるという通知が来た。去年の春に不法滞在直前にビザを更新した以下の経験から https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/03/blog-post_18.html 今回は早めに動こうということになった。子供たちが家にいる夏休み期間に妻は二度領事館に赴きパスポートの申請を終えた。パスポートは発行されたが、受け取りは本人のみという規定があるらしく、妻が交渉を重ねた結果、領事自ら俺の自宅を訪問してくれることになった。 領事を総領事と勘違いしていた俺は領事館HPに記載されているような年輩の男性を想像していたが、実際に現れたのは若い女性だった。彼女は韓国語も堪能で、妻と看護師さんと韓国語で話していた。領事館HPに記載されていると思って、自己紹介された名前を失念してしまったのが悔やまれる。 ⚪⚪さん、ご多忙の中、御足労いただきありがとうございました。

釜山大教授蹴球会

 再来週に教授蹴球会のメンバーが見舞いに来るという連絡があった。ありがたいことである。以下は俺が教授蹴球会に加入した当時のことを綴ったもので、懐古録からのシングルカットだ。  釜山大学教授蹴球会が結成されたのは2007年の秋だった。その噂を数学科の先輩教授から伝え聞いた俺はその練習場である陸上競技場に赴いた。陸上トラックの内部は緑の人工芝が敷き詰められている。 小学生のころからずっと、サッカーをやるときは土かコンクリートか原っぱでやるのが相場で、緑の芝のフルコートでサッカーをするというのは夢のまた夢の世界だった。というわけで、目の前に広がる緑を見て感動で打ち震えていたのである。 この教授蹴球会というのは発足したばかりで体系的な練習は皆無で、体を慣らすために適当にシュート練習をやって、実戦形式のゲームを始めるのが常であった。驚くべきは、そのチーム分けが教授チームと経営学科サッカーサークルに属する大学院生チームとで試合をすることである。 教授チームは年齢も容姿も様々で、過去に実業団に所属していた教授がいたり、白髪の方が多い定年間際の教授がいたり、訪問教授として釜山大に滞在しているドイツ人、エジプト人、そして教授チーム最年少の日本人がいた。 一方の大学院生チームは足元の技術がしっかりしているのは5名くらいで、残りは素人に毛が生えた程度だった。それでも、走力で圧倒的な優位性を誇る大学院生チームは、教授達がパスを繋いで前掛かりになるのを見計らって怒涛のカウンターと正確無比な決定力で得点を重ねていくのだった。 教授側は失点してばかりで面白くないのか、経営学科所属の教授陣の権力と忖度力を行使して、オフサイドの判定を教授側に都合の良いように下したり、怪我させないように軽めの守備を学生に徹底させたりする、等の対策を講じていて、その結果、大敗はするものの気持ちよく攻撃ができるような関係を維持しながら、試合は推移していくのである。 その日の俺はスニーカーで試合に参加し、大差がついて学生たちが守備を甘くし始めた終盤で、相手ペナルティエリアからのバックパスでアシストを記録したのみだった。心の中では、 「みんなサッカーを楽しんでいる和気藹々とした雰囲気は素晴らしいなあ」と思う一方で、 嘲笑うようにゴールを重ね、如何にも接待していますという態度が見え見えの学生チー...

禁忌を破れ

 昨晩、妻が体調不良を訴えた。それでもゴミ捨て等の家事をこなしていたが、突然、化粧室に駆け込み、嘔吐する音を響かせた。俺は妻のことが心配になり、次男に様子を見てくるように頼んだ。妻は次男に「生理痛のせいだ」と言った。 俺の実家では「生理」という単語が月経という意味で使われたことはなかった。いや、大人同士の会話では使われていたのかもしれないが、俺と弟の前ではその単語はタブーとして扱われてきた。男兄弟だけの家庭ではよくあることだと思う。 翻ってウチの家庭というか妻はオープンだ。このことは妻の実家の家族構成が父母と四姉妹だったことに起因しているのかもしれない。妻は生理期間に差し掛かると、消化不良、頭痛、筋肉痛という症状が現れる体質だ。今回も消化不良の状態で薬を服用して嘔吐したらしい。 結論は「生理に関することはオープンにした方がいい」ということだ。俺も結婚して初めて「体質や年齢にもよるが、女性は生理期間に男には想像できないような苦しみを味わう」ということを知った。しかし、ウチの子たちはそういうことを前もって知っている。すなわち、女性に対して配慮できる大人になる、ということだ。

試行錯誤の日々

 昨日も今日も試作品のモニターを続けている。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/09/blog-post_03.html なかなか上手くいかない。二日前にKKS先生とやったときには口内のセンサーが安定していて外れる気配を感じなかった。もしかしたらセンサーの挿入の仕方のコツがあるのかもしれない。本体は胸ポケットに入れているからなのかセンサーを外へ出そうとする微弱な力が作用している気がする。電池が切れそうになっているからなのかアラーム音が小さくなった。 歯の噛み合わせを用いたスイッチは商品化されている。例えば以下の装置。 https://www.adaptivetechsolutions.com/bite-switch/ KKS先生の画期的なところは極めて安価にナースコールシステムを実現させたことだ。奥歯にこだわる必要はないので、上記の製品を参考にして口内でセンサーが安定しない理由を解明していきたい。その改善案はセンサーの形状にかかってくるような気がする。例えば、「コ」型にカバーを変えるとか、凹凸をつけて滑りにくくするとかだ。 脳波を読み取る技術も研究されているようだ。 https://news.yahoo.co.jp/articles/22d72683f5f165c75fb0da2f58e58a9165712d45 しかし、脳内に電極を埋め込むなんてことはやりたくないな。視線入力で代替できるのにそんなリスクをおかす人はいるのだろうか大いに疑問だ。

試作品のモニター

 昨晩と今朝、座っている状態で以下の発明品を試してみた。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/09/blog-post_02.html 先ず、困ったのは呼び出しベルの名称だ。文字盤で伝える時に「あ、か、さ、た、な、は、ま、や」でまばたきして、「や、ゆ、よ」でまばたきして、ようやく「呼び出しベル」の最初の音節が完成する。その方法では時間がかかるし、子供たちは「呼び出しベル」が何を意味するのか把握してない。やはり、時間短縮可能な新名称を定義して家族全員に周知するのがいいと思う。その新名称は「鐘(かね)」とする。 次に、最初は意のままにアラーム音を鳴らせるのだが五分も経たないうちに音が鳴らなくなる問題が頻繁に起こる。これは噛み合わせるたびにセンサーがずれることが原因と思われる。ちなみに口の右側にセンサーを挿入すると比較的安定している。しかし、30分以上鳴る状態が維持されたことは一度もない。 前回の投稿で「もう完成してますよ」と書いたが、偉大な発明というのは一朝一夕になされるものではないようだ。個人の歯型に関わらないでセンサーを固定する方法が確立されて初めて完成と言えるのだろう。現時点で思い付くアイデアは以下の通りだ。 センサーにスイートスポットを設け、奥歯の強い力で噛み合わせた時のみ音を鳴らし、それ以外の部分は甘噛みでも音が鳴るようにする。そうすると、スイートスポットからずれた時でも助けを呼べる。しかし、根本的な解決にはならない。 こういう疑問にAIは答えてくれるのだろうか?

偉大な発明

 今日の午後、歯科医師のKKS先生と助手のASYさんが来られた。前回の訪問の様子は以下を参照。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/06/blog-post_10.html KKS先生は前回の試作品を大幅に改善したものを持ってきた。それは呼び出しベルを歯の噛み合わせで鳴らす装置で、センサーを覆うカバーの部分は口に入れても無害な素材で作られていて、厚さを変えて数枚の付け替えが可能だ。 早速、試してみた。前回の試作品と比べて感度が上がっていて、口内での馴染みも良いし、乾電池も単三で交換しやすく、音量も調整されていた。何より、「このままでも十分使える!」と確信できるほどの完成度だった。最初は寝た状態で試していたが、座った状態でも可能かを確かめたいと思い、妻に頼んで座らせてもらった。それでも滞りなく呼び出し音が鳴った。それまで先生がセンサーの出し入れをしてくれたのだが、妻がその役割が担えるかと不安になった。文字盤で「入れて」と妻に伝えると、妻は水道でセンサーを洗って自分の口にセンサーを入れ始めた。「違う、違う。そうじゃない」と言いたかったが、座っている状態ではアヒルが押せないし、歯ぎしりの調子が悪いため怪訝な表情を浮かべるしかなかった。さすがにその場の誰かが気付いてくれて誤解が解けた。妻もやってみて、どのくらい深くセンサーを挿入すれば音が鳴り外れにくいのかに関する知見が得られた。その様子を見ていた助手の方も嬉しそうな表情を浮かべていた。 妻が「夫が冗談めかしてブログに書いたことを本気にしてまさか本当に作ってくれるとは!」と言っていたが、本当にそう思うし、「損得抜きで楽しみながらやってしまうのは学者と相通ずるものがある」と思ったし、「こんな身近にすごい人がいるもんだ」と思った。冗談抜きでこの発明で救われる人は大勢いると思う。学会とかで発表して、全世界のALS患者に希望の光を与えてほしい。 「次に来るときは更なる改良を施す」と先生は言うが、「もう完成してますよ。今夜から使うつもりでいます」と反論したい。