解散宣言
JIM教授から妻へ電話がかかってきた。そういう場合、妻はスピーカー機能をオンにして通話内容を聞こえるようにしてくれる。JIM教授は釜山大学教授蹴球会の創立者であり、長年に渡って会長としてチームをまとめてきた。俺も含めて自己主張の強い個性派揃いの会員たちを御していくには「全てを包み込む皮袋」に徹することもできる人格のJIM教授が適任だった。 「教授蹴球会の中核メンバーが定年退職してしまって、これを機に解散することにしたよ。平坂教授に伝えなきゃと思い電話したんだ」という内容が妻のスマホから聞こえた。俺が蹴球会に参加できなくなって丸7年になる。その当時も最年少メンバーだったし、新しいメンバーが入って来ないという高齢化問題を抱えていた。「ついに来るべき時が来た」というのが感じで受け止めていた。 金曜日の15時に陸上競技場に行くのが楽しみで、全力で走り全力でプレイして終了時間の17時には疲労困憊になって研究室に戻るのが心地よかった。ゴールを決めたチームメイトに駆け寄ってハイタッチの後胸を合わせて祝福するのが俺の流儀だったし、そうやってサッカーの持つ一体感を味わっていた。遠征試合前日の飲み会も出陣式みたいな雰囲気で楽しかったし、試合終了後にサウナで汗を流し別会場に移動しての飲み会も楽しかった。何も喋らなくても居場所があるような気がした。 釜山大学教授蹴球会で過ごした時間は俺の青春だったし、それと似たようなことを俺以外のメンバーも感じていると思う。そんな時間を共有していたメンバー全員に感謝を伝えたい。