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禁忌を破れ

 昨晩、妻が体調不良を訴えた。それでもゴミ捨て等の家事をこなしていたが、突然、化粧室に駆け込み、嘔吐する音を響かせた。俺は妻のことが心配になり、次男に様子を見てくるように頼んだ。妻は次男に「生理痛のせいだ」と言った。 俺の実家では「生理」という単語が月経という意味で使われたことはなかった。いや、大人同士の会話では使われていたのかもしれないが、俺と弟の前ではその単語はタブーとして扱われてきた。男兄弟だけの家庭ではよくあることだと思う。 翻ってウチの家庭というか妻はオープンだ。このことは妻の実家の家族構成が父母と四姉妹だったことに起因しているのかもしれない。妻は生理期間に差し掛かると、消化不良、頭痛、筋肉痛という症状が現れる体質だ。今回も消化不良の状態で薬を服用して嘔吐したらしい。 結論は「生理に関することはオープンにした方がいい」ということだ。俺も結婚して初めて「体質や年齢にもよるが、女性は生理期間に男には想像できないような苦しみを味わう」ということを知った。しかし、ウチの子たちはそういうことを前もって知っている。すなわち、女性に対して配慮できる大人になる、ということだ。

試行錯誤の日々

 昨日も今日も試作品のモニターを続けている。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/09/blog-post_03.html なかなか上手くいかない。二日前にKKS先生とやったときには口内のセンサーが安定していて外れる気配を感じなかった。もしかしたらセンサーの挿入の仕方のコツがあるのかもしれない。本体は胸ポケットに入れているからなのかセンサーを外へ出そうとする微弱な力が作用している気がする。電池が切れそうになっているからなのかアラーム音が小さくなった。 歯の噛み合わせを用いたスイッチは商品化されている。例えば以下の装置。 https://www.adaptivetechsolutions.com/bite-switch/ KKS先生の画期的なところは極めて安価にナースコールシステムを実現させたことだ。奥歯にこだわる必要はないので、上記の製品を参考にして口内でセンサーが安定しない理由を解明していきたい。その改善案はセンサーの形状にかかってくるような気がする。例えば、「コ」型にカバーを変えるとか、凹凸をつけて滑りにくくするとかだ。 脳波を読み取る技術も研究されているようだ。 https://news.yahoo.co.jp/articles/22d72683f5f165c75fb0da2f58e58a9165712d45 しかし、脳内に電極を埋め込むなんてことはやりたくないな。視線入力で代替できるのにそんなリスクをおかす人はいるのだろうか大いに疑問だ。

試作品のモニター

 昨晩と今朝、座っている状態で以下の発明品を試してみた。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/09/blog-post_02.html 先ず、困ったのは呼び出しベルの名称だ。文字盤で伝える時に「あ、か、さ、た、な、は、ま、や」でまばたきして、「や、ゆ、よ」でまばたきして、ようやく「呼び出しベル」の最初の音節が完成する。その方法では時間がかかるし、子供たちは「呼び出しベル」が何を意味するのか把握してない。やはり、時間短縮可能な新名称を定義して家族全員に周知するのがいいと思う。その新名称は「鐘(かね)」とする。 次に、最初は意のままにアラーム音を鳴らせるのだが五分も経たないうちに音が鳴らなくなる問題が頻繁に起こる。これは噛み合わせるたびにセンサーがずれることが原因と思われる。ちなみに口の右側にセンサーを挿入すると比較的安定している。しかし、30分以上鳴る状態が維持されたことは一度もない。 前回の投稿で「もう完成してますよ」と書いたが、偉大な発明というのは一朝一夕になされるものではないようだ。個人の歯型に関わらないでセンサーを固定する方法が確立されて初めて完成と言えるのだろう。現時点で思い付くアイデアは以下の通りだ。 センサーにスイートスポットを設け、奥歯の強い力で噛み合わせた時のみ音を鳴らし、それ以外の部分は甘噛みでも音が鳴るようにする。そうすると、スイートスポットからずれた時でも助けを呼べる。しかし、根本的な解決にはならない。 こういう疑問にAIは答えてくれるのだろうか?

偉大な発明

 今日の午後、歯科医師のKKS先生と助手のASYさんが来られた。前回の訪問の様子は以下を参照。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/06/blog-post_10.html KKS先生は前回の試作品を大幅に改善したものを持ってきた。それは呼び出しベルを歯の噛み合わせで鳴らす装置で、センサーを覆うカバーの部分は口に入れても無害な素材で作られていて、厚さを変えて数枚の付け替えが可能だ。 早速、試してみた。前回の試作品と比べて感度が上がっていて、口内での馴染みも良いし、乾電池も単三で交換しやすく、音量も調整されていた。何より、「このままでも十分使える!」と確信できるほどの完成度だった。最初は寝た状態で試していたが、座った状態でも可能かを確かめたいと思い、妻に頼んで座らせてもらった。それでも滞りなく呼び出し音が鳴った。それまで先生がセンサーの出し入れをしてくれたのだが、妻がその役割が担えるかと不安になった。文字盤で「入れて」と妻に伝えると、妻は水道でセンサーを洗って自分の口にセンサーを入れ始めた。「違う、違う。そうじゃない」と言いたかったが、座っている状態ではアヒルが押せないし、歯ぎしりの調子が悪いため怪訝な表情を浮かべるしかなかった。さすがにその場の誰かが気付いてくれて誤解が解けた。妻もやってみて、どのくらい深くセンサーを挿入すれば音が鳴り外れにくいのかに関する知見が得られた。その様子を見ていた助手の方も嬉しそうな表情を浮かべていた。 妻が「夫が冗談めかしてブログに書いたことを本気にしてまさか本当に作ってくれるとは!」と言っていたが、本当にそう思うし、「損得抜きで楽しみながらやってしまうのは学者と相通ずるものがある」と思ったし、「こんな身近にすごい人がいるもんだ」と思った。冗談抜きでこの発明で救われる人は大勢いると思う。学会とかで発表して、全世界のALS患者に希望の光を与えてほしい。 「次に来るときは更なる改良を施す」と先生は言うが、「もう完成してますよ。今夜から使うつもりでいます」と反論したい。

真夜中の洪水

 昨晩、猛烈な暑さを感じ、アヒルを数回鳴らした。妻はその音に反応してくれない。隣の部屋で寝ている長男がやって来て、布団の掛け方を調整してくれた。「まさか長男が起きているとは思わなかった。翌日から開講で朝早いと言っていたのに、深夜に起こして悪いことをしたなあ」と反省していた。その反省はアヒルの呼び出しを禁じ手にした。 前日からの消化不良は一眠りしても健在だ。軽い吐き気を感じた。そうすると目が冴えてきた。「今、何時だろう? 窓が一向に明るくならないことから3時から5時の間だろう」と推測する傍らで妻はすやすやと寝息を立てている。「嗚呼、あと何時間消化不良の不快に耐えなければいけないのだろう? 妻が起きても解決しないからなあ」と思った。 突然、つば吸引が作動しなくなった。この現象はたびたび起こる。チューブ内に粘り気の強い液体が滞留するのが原因だ。それを解消するには誰かが水をチューブ内に流し込まなければならない。その誰かが問題だった。長男の件があってアヒルは鳴らせない。妻はノンレム睡眠真っ最中という感じで熟睡中だ。俺の口の両端からは行き場を無くした唾液が流れ出して延髄の辺りを濡らしている。俺は「妻のいびきが収まり寝返りを打つタイミングで起こそう」と決心した。しかし、妻のいびきは収まらない。それどころかますます大きくなっていく。試しに歯ぎしりを数回鳴らしたが、何の反応もなかった。そのまま一時間ほど経ってからついに運命の瞬間が訪れた。 唾液の洪水となっていることを確認した妻は寝巻きを着せ替え、タオルで俺の上半身を拭いた後、シーツまで交換してくれた。なお、患者を寝たままにしてシーツを交換するのは専門知識を伴う厄介な作業である。その後、俺は眠りにつき、妻も一眠りしたそうだ。妻に頭が上がらない理由がまた一つ増えた夜だった。

ラブ上等を視聴した

 Netflix配信の恋愛リアリティショー「ラブ上等、シーズン2」エピソード1-10を視聴した。この番組は、恵まれない家庭環境で育ち、荒れた過去を持つ、年頃の男女11人が、沖縄の廃校を番組用にリフォームした環境で、スマホもテレビも使えないし、告白禁止や不純異性交遊禁止などの制限の下で、2週間共同生活して、最終日に告白する、という仕様になっている。 「ウランを濃縮していけばそりゃあ反応するだろう」という感じの恋愛という化学反応を促進するような環境で、恋愛の甘くて酸っぱい部分だけでなく苦くてどろどろした部分まで出演者たちが赤裸々に語ってくれるところが最大の魅力だと思う。解説陣も指摘していたけど、片親やDVみたいな境遇で育ったという共通点は「今という状況は明日崩れるかもしれない」という脅迫観念が行動を刹那的にさせる傾向が強いと思われる。いつしか恋敵であった同性同士の友情が育まれ、意中でない異性にも絆が生まれる。ストレートな物言いを通し男女が人間的に成長し、後半では実に良い表情をするようになる。 AIが人間の感情まで関与する現代社会にカウンターパンチを繰り出すのがこの番組の意義だと思う。娯楽に溢れる社会で「結局、1番面白いのは人間だ」というメッセージが込められている気がしてならない。それが現実のものとなる理想郷を番組内で擬似体験できるのが人気を博している原因なのだろう。 番組の一期の卒業式を視聴して思うことは「成立した3組のカップルはどれも長続きしないだろうな。たとえ結婚して子供ができても離婚しそうだ」ということだ。そもそも二週間の共同生活で生じた気持ちは元の生活とは全く関係ないし、永遠を想定したものではないのだ。パートナーがホストやキャバ嬢なんて気が気でないと想像するのだが、老婆心ながら出演者たちの行く末を心配してしまう。そんなカルマを断ち切るためには「外見に左右されずに不細工でも信頼できる人を選択して、金が稼げてモテ気分が味わえる夜職から足を洗うべきだ」と思うのだが、堅実な人柄の人物は選ばれなかったし、普段からモテる人はおしゃれにも気を遣わない内面だけが取り柄の人は眼中にないからな。そういう意味で夜職が大多数のメンバー構成をした制作者は残酷だと思う。

夏休みの宿題

 夏休みが終わりつつある。来週から新学期が始まる。この時期から「夏休みの宿題をやらなきゃ」と苦悩した記憶がある。夏休みが始まった頃は、早朝のラジオ体操に通い、漢字の書取りをやって、夏休み用の教材である「夏休みの友」をやって、NHK教育の「はたらくおじさん」「できるかな」「おとぎの国」「みるちゃんきくちゃん」を視聴して、「午後は何をしようかな」という具合に夏休みを有効活用しようという意欲に燃えていた。しかし、それは毎年3日も続かない。夏の暑さには抗えないものだ。8月になる頃にはラジオ体操に通うことなく惰眠を貪り、漢字も夏休みの友もやらずにテレビだけ見ていた。 同様のことは「夏休みの自由研究」にも起こる。最初は「夏休みの40日間で何かを解明してやろう」という意欲に燃えていたが、その「何か」を探しているうちに怠惰モードに入り、初心は忘却の彼方に追いやられ、「夏休みの工作」に代替させることになる。その工作も「宿題だからしょうがなくやっている」程度の動機しかないので、何を作っていたのか全く思い出せない。いや、一つだけ覚えているのがマッチで作った城で、展示終了後に火をつけて炎上させるというサイコパスな行動をしていた。 読書感想文の宿題も嫌だった。小学校の6年間で何の本を読んだのかも全く覚えてない。何が嫌かというと、400字詰め原稿用紙4枚以上みたいな下限が課されていることだ。本来であれば、絵本でも漫画でもテレビ番組でも「面白かった」「面白くなかった」のように一言で終わるものが引用して「~~だと思いました」という定型文で繋げていくのは苦痛だった。読書を奨励する狙いなら感想文ではなく作品批評に変えて、「最初の数行で読む気を無くしました」みたいな正直な批評を連ねて提出の方が読書意欲を喚起するはずだ。 真面目で勤勉と評される日本で夏休みのような空白期間を作るなんてどういう風の吹き回しかと思う。明治時代に教育制度を創設した偉い人のおかげで何もしない怠惰が許される幸せな少年時代を過ごせたのかもしれない。