釜山大教授蹴球会
再来週に教授蹴球会のメンバーが見舞いに来るという連絡があった。ありがたいことである。以下は俺が教授蹴球会に加入した当時のことを綴ったもので、懐古録からのシングルカットだ。 釜山大学教授蹴球会が結成されたのは2007年の秋だった。その噂を数学科の先輩教授から伝え聞いた俺はその練習場である陸上競技場に赴いた。陸上トラックの内部は緑の人工芝が敷き詰められている。 小学生のころからずっと、サッカーをやるときは土かコンクリートか原っぱでやるのが相場で、緑の芝のフルコートでサッカーをするというのは夢のまた夢の世界だった。というわけで、目の前に広がる緑を見て感動で打ち震えていたのである。 この教授蹴球会というのは発足したばかりで体系的な練習は皆無で、体を慣らすために適当にシュート練習をやって、実戦形式のゲームを始めるのが常であった。驚くべきは、そのチーム分けが教授チームと経営学科サッカーサークルに属する大学院生チームとで試合をすることである。 教授チームは年齢も容姿も様々で、過去に実業団に所属していた教授がいたり、白髪の方が多い定年間際の教授がいたり、訪問教授として釜山大に滞在しているドイツ人、エジプト人、そして教授チーム最年少の日本人がいた。 一方の大学院生チームは足元の技術がしっかりしているのは5名くらいで、残りは素人に毛が生えた程度だった。それでも、走力で圧倒的な優位性を誇る大学院生チームは、教授達がパスを繋いで前掛かりになるのを見計らって怒涛のカウンターと正確無比な決定力で得点を重ねていくのだった。 教授側は失点してばかりで面白くないのか、経営学科所属の教授陣の権力と忖度力を行使して、オフサイドの判定を教授側に都合の良いように下したり、怪我させないように軽めの守備を学生に徹底させたりする、等の対策を講じていて、その結果、大敗はするものの気持ちよく攻撃ができるような関係を維持しながら、試合は推移していくのである。 その日の俺はスニーカーで試合に参加し、大差がついて学生たちが守備を甘くし始めた終盤で、相手ペナルティエリアからのバックパスでアシストを記録したのみだった。心の中では、 「みんなサッカーを楽しんでいる和気藹々とした雰囲気は素晴らしいなあ」と思う一方で、 嘲笑うようにゴールを重ね、如何にも接待していますという態度が見え見えの学生チー...