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「はたらく細胞」を視聴した

 Netflix で映画「はたらく細胞」を視聴した。実は3週間前に視聴したのだが、模試が終わったばかりの長女と2回目の視聴をした。長女は仮面ライダーオタクでそのシリーズに出演している俳優が「はたらく細胞」にも出ているということで興味津々だった。 体の中の白血球や赤血球などの細胞を擬人化した話で、例えば、病原菌が気管支に侵入して来た時にナイフを持った白血球が怪物化した病原菌を撃退したり、ロケットに誘導して、人間が咳をする時にそのロケットが打ち上げられる描写がある。それらを見ると、「自分の体の中でもこのようなことが日常的に起きているんだ」という気持ちになるし、原作者の想像力に感嘆するのだ。 長女は場面ごとに感想を述べる。例えば、主人公が死にそうな時に「ええー、悲しい。本当に死んじゃったの?」みたいに言葉にしてくれる。物語はある女子高生が白血病にかかり、体内の血球細胞が変異していく。抗がん剤はミサイルに放射線治療はオーロラに喩えられて描写される。そんな中で正常な細胞もバタバタ死んでいく。生き残った赤血球は酸素を運ぶという使命感でボロボロになっても働き続ける。そういう時の俺は感動して涙を流していることが多いのだが、長女は映画に没入していてこっちに目を向けることはないので、助かっている。 死生観が全く異なる体内の世界をエンターテイメントとして昇華させたこの映画は単純に楽しめる一方で、いろんなことを考えさせられた。

参院選で投票した!!

参院選は3年ごとに投票が行われる。今月20日が投票日で、事前に在外登録を申請しておけば領事館で投票することができる。もっとも、ちょっとした外出でもしんどい俺が領事館まで赴くのは至難の技だ。そもそも、領事館まで救急車で運ばれたとしても、政党名を鉛筆で記すことができない。そこで疑問に思ったのが他のALS患者はどのように投票しているかということだ。 その疑問を生成AIに尋ねてみた。その答えは事前申請しておけば投票用紙が郵送されて、代理人による記名された投票用紙を郵送すればいいそうだ。 ちなみに6年前の参院選は大村市で投票した。そのときの顛末は闘病記に記してある。以下は闘病記からのシングルカットである。 参議院選挙投開票日を五日後に控える今日、 「政治には関心がない」と公言するのが恥ずかしいと思える俺は期日前投票のために指定された役場に向かった。 郵政解散の時に釜山の日本領事館で投票して以来の国政選挙である。やや緊張した面持ちで電動車椅子の前進レバーを押し、妻を入口に待たせて投票室に突入した。 投票用紙を渡された俺は高すぎる記入台の周囲を彷徨っていた。すると係員からの誘導が入り、車椅子に座ったままでも記入可能な台に案内され鉛筆を渡された。俺は右手に鉛筆を握らせる作業に没入した。しかし、そんな簡単なことが今の俺には、プロサッカーチームの練習場を地元に誘致するほどの大事業と化しているのだ。それを見かねた係員が持たせてくれた鉛筆で渾身の力を振り絞り、二枚の投票用紙に数十匹のミミズを這わせることに成功した。 その必死で書いた弱々しい文字は誰かを象徴しているかのように見えた。 どうか無効票となりませんように。

海外放浪記 12)

これまでの海外旅行や海外出張を古い順に並べてみた。なお、前回は次の通り。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2025/06/11.html   12)韓国、浦項。1999年11月。無給の研究生から脱出する日がとうとうやってきた。とは言っても自分で探したわけではなく、指導教官が見つけてくれた研究員の職だった。指導学生を持つ立場になって初めてわかったことがある。それは学位を出すことよりも職を斡旋することは遥かに大変だということだ。あのまま九大で研究生生活を続け貯金が底を尽き、アルバイトしながら研究時間を捻出するジリ貧に陥り、何もかもが中途半端なまま数学を放棄する可能性は十分にあった。というか、日本全国でそういう境遇の博士が大勢いたはずなのだ。数学者として生き残ることができたのは運と環境と指導者に恵まれたからで、自分の才能や努力の比率は微々たるものだと思う。 浦項にはPOSTECH という韓国でトップクラスの大学があると聞いていた。俺は新天地での活躍を誓っていたが、口が悪い先輩からは「言っちゃあ悪いけど、都落ちって感じだよね」と言われた。それを今でも覚えているということは「このまま終わってたまるか」と発奮したからに他ならない。今と違って、韓国ドラマもKポップも韓国グルメも知られてない時代で、多くの日本人には軍事政権のイメージが強い国だった。 職の打診がきたのは7月、それから就労ビザが発給されるまでひたすら待つ生活が続いた。出発前に指導教官の自宅で俺の送別会を兼ねたホームパーティーが催された。素握り対決、髪切り将棋対決、指導教官との六子局に勝利したが、指導教官との将棋対決では必至をかけて勝った気でいたらトン死を食らって負けた。 福岡空港から金海空港までは空路だ。その当時の俺は幾度の海外旅行で鍛えられたせいで「行けばどうにかなる。聞けばどうにかなる」という偏った自信に満ちていて、何一つ事前調査をしていなかった。そのために空港から釜山のバスセンターまではローカルバスで、そこから浦項のバスセンターまでは慶州経由の高速バスで、そこから目的地まではローカルバスで、のように何が何でも公共交通機関を利用したので、重くてかさばる荷物を持った上で、盗まれるかもしれないという緊張感の下、長時間バスに揺られ続けたので、疲労困憊になった。現地の守衛さんに頼...

客人がやって来た、ヤーヤーヤー

 釜山大学数学科の卒業生であるJSY、CHI、KGY ( 敬称、略) が見舞いに来てくれた。ありがたいことである。本人たちの「ブログに登場したい」という希望があったので、3人との会話の一部を公開しようと思う。 以前の訪問は2年前、俺は寝たままで手書きのアルファベット文字盤で単語一つに1分以上かけて意志疎通していた。しかし、今の俺には視線入力という強い味方がついている。もちろん、健康であった時のようにはいかないが、少なくとも俺はストレス無しに言いたいことを伝えることができた。改めて視線入力という技術と俺の入力速度に合わせて会話を組み立ててくれた客人の心遣いに感謝申し上げたい。 「今は家庭教師のアルバイトをやっているが、何かいい進路があれば教えて下さい」 「うちの三男の嫁になるのはどう? ちょっと待たないといけないし、姑が恐いけど大丈夫?」 「私は大丈夫ですけど本人の気持ちを確認しないと。7年後にまた来ますね」 コンプライアンス的にギリギリセーフだと思うのだが、専門家の意見を聞いてみたいものだ。 研究内容の説明を聞いた後で「フィールズ賞を受賞しそうだな」と冗談で返したが、それくらいの大志を抱いて研究活動に邁進してほしい。 交際して三年目の二人に「偉くなる前に結婚したほうがいいよ。例えば、教授になってしまったら、相手はあなたではなく教授と結婚することになるからさ」 普段は強気の彼は戸惑いの表情を浮かべて「二人の事情がありますからおいおい話します」と答えていた。少々、お節介が過ぎたようだ。

東アジア選手権

 昨日の追伸で書いた日本対香港は日中韓と香港の4チームの総当りで競う大会の一試合だ。韓国で開催されているので、当然全試合をテレビ中継してくれると思い込んでいた。次男にそのチャンネルを探してくるように頼んだが、しばらくネット検索した結果「わからない」ということだった。結局、視聴できなかった。 試合はジャーメイン良の4得点の活躍で日本が6対1で勝利した。ハイライトを見る限り、香港の守備は観光目的でやってきた親善試合レベルの強度だった。それでも6点取れるのは大したものだ。考えてみると、今回の代表メンバーの若手は一年以内に海外のリーグに挑戦してもおかしくない選手ばかりで、一年後のワールドカップで点が取れるほどに急成長しているかもしれない。 次の中国戦ではスタメン総入れ替えで臨むのだろうな。ちなみに4年前の同大会で森安監督がそれを実行して乏しい内容で中国と引き分けだったのだ。 来週の火曜日の韓国戦は中国戦の結果に関わらず優勝を賭けた大一番となる。さすがにテレビ中継はあるだろう。韓国の守備網を突破できる選手は本物だろう。ジャーメイン良を始めとするアタッカーたちにはそういう役割を期待したい。

申し訳ない夢

昨晩の夢はよくなかった。首から下が引っ張られる感覚に襲われ、歯ぎしりで妻を起こした。妻が目覚めて口文字盤が始まったが、どのように説明したらいいのか自分でもわからなかった。深夜に起こされた妻は煮え切らない俺の対応に苛立ちを露わにした。申し訳ないと思いつつも、妻がそうしたことで俺も正気に戻り、夢の呪縛から解放された。 それからしばらくして右足の付け根から引っ張られる感覚に襲われた。今度は夢ではなく、半分寝ている意識がある状態だった。俺は「悪霊退散」とばかりに右足全体に力を込め、曲げている膝を目一杯伸ばした。伸ばした先がよくなかった。そこはベッドのへりで足の指が曲がった状態で押し付けられていた。はっきり言って痛い。我慢できないこともないが、そのストレスで眠れそうにない。伸ばす力はあっても元に戻す力がない。窓の外はまだ暗い。それは午前5時前を意味しており、最初のアラームが鳴る6時まで1時間以上待たなきゃいけない。そう考えると焦燥感に襲われ、申し訳ないと思いつつも、再び歯ぎしりで妻を起こした。妻は眠そうな顔で起き上がり、俺の足を元の位置に戻した後、再び眠りについた。 朝、起きた妻は長女の朝食を準備して、三男を起こし学校に送り出す時間になった。。妻は頭痛を訴えた。睡眠不足がその原因であることは明らかで、睡眠不足の原因は俺であることは明らかだった。申し訳ないと思いつつも、朝ドラを視聴したいので、目ヤニを除去してもらい、枕をテレビ視聴に適したものに替えてもらい、つば吸引のチューブの位置を変えてもらい、テレビをつけてもらい、テレビがよく見えるように頭の位置を調整してもらった。 朝の情報番組で「この時期の頭痛や皮膚荒れの原因はたんぱく質不足によるものが大きい」という特集が組まれていた。そう言われてみると、妻は子供たちに肉を食べさせることに執心するばかりで妻自身は肉類をほとんど食べない。卵、牛乳、ヨーグルトから十分なたんぱく質を摂取してほしい。現在、午後5時、傍らで昼寝をする妻の寝息を聞きながらこの文章を書いている。 追伸)今夜はサッカーの代表戦の日本対香港がある。Jリーグに所属する選手のみで構成された代表チームで、海外メディアから三軍以下だと批判されているが、「この機会に森安監督にアピールして来年のワールドカップのメンバーに滑り込もう」と選手全員が思っているだろうから試合に対する意気込...

NHKの罪

昨晩のNHKのニュースは通常一時間の枠を拡大しての80分にも渡る政治討論会が挿入された。与野党の各党から1名ずつが一堂に会しての討論会だったが、これがびっくりするほど退屈で面白くなかった。先ず、参加者で党首なのはれいわ新撰組と参政党のみで残りは党の政策や見解を代弁するのが最優先という感じで、踏み込んだコメントは一切なかったし無難な議論に終始していた。そもそも、事前に準備された質疑応答内容を順番に読み上げるだけでお互いの主張をぶつけ合う議論とは程遠いものだった。 こんなにつまらない討論会になった原因は制作者側にあると思う。せっかく、視聴率が高くなる時間帯の番組なのだから、もっと攻めた内容にしてほしかった。党首勢揃いとはいかなくとも人選にもっと気を遣えば華やかな雰囲気になったはずだ。視聴者からの意見と称して、「政権奪取したいなら内閣不信任案を出すべきだったのでは?」「選挙前に給付金や減税とか言い出すのはいかがなものか?」「選択的夫婦別姓は野党で意見調整すれば実現できたのでは?」「外交と安全保障についての議論はないの?」「外国人移民を制限するなら少子化対策を確たるものにしてくれ。子育て支援に何兆円も費やして出生数が戦後最低になった現実をどう見るのか?」「政権を担う気がないから消費税廃止とか公金投入とか言えるのでは?」「裏金問題は解決したの?」などの燃料を投下して司会者が関係する参加者に話を振れば、白熱した議論が展開されただろうし、生中継ならではの失言や暴言を含めてネットニュースの見出しとなり、参院選への関心も高まったはずなのに、返す返すも残念だ。 こんな形式的で見所がない討論会ならやらない方が遥かにマシだった。無難な方向に走ったNHKの罪は重いと思う。 日曜討論では党首全員が揃い踏みで華やかな雰囲気はあったし、内容もまずまずだった。これも個人の感想だが、党首になれるような政治家は聞き取りやすいいい声を持っていると思った。 追伸)MLBの鈴木誠也の打点成績がすごいことになっている。大谷がいなかったらもっと注目されただろうし、日本の至宝扱いだっただろうなあ。