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韓国対南アフリカ

 北中米ワールドカップの韓国対南アフリカの試合を次男と観戦した。ちなみに我が家でサッカーに興味があるのは俺、次男、三男のみで、残りは代表戦が昼間に中継されていても見向きもしない。韓国は引き分け以上で2位通過、負けても3位通過の可能性が残っている。かく言う俺も以下のように予想していた。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/06/blog-post_12.html 先発にソンフンミンがいないのが気になった。「不動のエースだと思っていたが、終盤の点が欲しい時に投入されるのだろう」と納得していた。前半は韓国が押し気味で、得点するのは時間の問題と思われた。南アフリカは攻撃が得意なチームで、時折リズムに乗ったパスワークで韓国陣内に攻め込んでいた。 後半は「このまま0対0で試合を終えれば決勝トーナメント進出だ」という韓国選手の声が聞こえて来そうな展開だった。韓国の攻撃は迫力を欠き、南アフリカの攻撃は喜びに溢れ、ついには結実する。スコアは0対1、このままだと韓国はA組3位になり、得失点差で生き残りが分かれる状況だ。そのために韓国は失点を怖れ、守備陣を攻撃に替える選手交替ができないように見えた。 俺と次男は同点ゴールを期待していたが、奇跡は起こらなかった。楽に勝てるし引き分けでも良いという油断が招いた敗戦だと思う。明日の日本対スウェーデンの試合も似たような状況だ。俺はブラジル戦を避けるために負けても構わないと書いたが、 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/06/blog-post_21.html 3位通過は対戦相手が2日後に確定する上に1位通過チームと当たる。移動の負担もある。何よりスウェーデン戦で負けて決勝トーナメント1回戦で負けたら目も当てられないではないか。前言撤回になるが、スウェーデン戦は全力で勝ちに行き、あわよくば1位通過を狙うべきだと思う。

元気になる秘訣

 昨日の午後、釜山大学数学科の卒業生であるLDS、HSH、KGY、CHI (敬称、略)が見舞いに来てくれた。ありがたいことである。 HSHの趣味は数独だ。数独とはパズルゲームの一種で、世界大会も開催されている。HSHは韓国代表選手で、今年の10月に開催されるインド大会に出場するそうだ。現在、交際中の女性と近々結婚するそうだ。数独という名称は「数字は独身に限る」というパズルのルールに由来している。HSHが結婚後も数独の鍛錬を続けるのか気になるところだ。 彼らとの歓談は長男と次男と妻を巻き込んで2時間半に及んだ。話題が途切れたら発言しようと準備していたが、盛り上げ上手な彼らの前では発言の機会は数回ほどだった。卒業生の話を聞いているだけで元気が出るものだ。また気楽に立ち寄ってほしい。 今日の午後2時に物理療法士のJSYさんが来られた。寝台に座った状態で施術することになった。ちなみにこの体勢で施術されるのは初めてだ。視点が上にある分自分の手足がよく見える。俺は「右手の爪が丸まって醜い限りだな」と思った。JSYさんは色々な質問をしてくれたが、まばたきでしか返せない自分がもどかしかった。保健所の在宅サービスは夏休みに入るそうで次回の訪問は9月以降だそうだ。 JSYさんの施術が佳境を迎えるとき、看護師のABYさんと物理療法士のKSHさんが来られた。妻から事前に聞いてはいたが、今日は施術のダブルヘッダーが行われる。「一日ずらして来てくれたらいいのに」と思ったが、日程調整が難しかったようだ。KSHさんの施術は心の中の悲鳴が出るほど痛いのだが、今日に限ってはへっちゃらだった。おそらく、ダブルヘッダーで関節がほぐれていたのだろう。KSHさんも驚いた表情を浮かべていた。 元気になった気がするのは気のせいだろうか?

7年前の記憶

北詰正顕先生は食道を切除した状態で以下の研究集会に参加された。 https://sites.google.com/view/2019symposium-algcombin 北詰先生は「睡眠時の逆流を防ぐために上半身の傾きを調整できる医療用ベッドが必要だ」と言っていた。「研究集会は長崎市内で開催されるのに、長崎市内にはそのようなベッドがあるホテルが見当たらなかった。そのために大村市内のホテルに泊まっている」と聞いた。それから2ヶ月後、病状が悪化して北詰先生は他界された。以下は闘病記からのシングルカットで、北詰先生の講演の様子が綴られている。  25年前、とある地方で開催された研究集会の懇親会終了後、一行は酔いを醒ますためかとある喫茶店に入った。学部4年生だった俺は「年長者が席を確保してから着席しよう」との思いから立っていたのだが、とある年配の先生から「座りなよ」と二人掛けのテーブルに招かれた。これがKZ先生との最初の出会いだった。 駆け出しだった俺は初対面の年長者を前にして、 「失礼なことを言わないようにしないと」 「しかし、黙っているのも気が利かないと思われそうだ」 とあれこれ考えたあげく、 「KZ先生の名字の漢字を考慮するとKDと書くべきなのでは?」 と会話の口火を切った。それが功を奏したというわけでもないだろうが、KZ先生の気さくなお人柄も相まって会話が途切れることなく時間が過ぎ去った。 その時から今まで、おそらく15回以上はKZ先生の講演を聴く機会に恵まれたが、そのほとんど全てにおいて有限単純群が頻繁に登場する。その一つ一つの説明が「単なる引用や紹介にとどまらない夥しい確認作業を経てこそ得られる知見」によってなされているのだ。万人が理解出来る道順を示す理想的な講演方式であるが、その説明によって理解までの道程が初心者にはあまりにも遠大で険しいことを知らしめられるのだ。そのような説明の連続で導き出される壮大な結果に圧倒され度肝を抜かれたのは俺だけではないはずだ。 上海で開催された研究集会で座長を務めた時、各講演後に質問したことに対してKZ先生からお褒めの言葉をいただいたことも記憶に新しい。そんなKZ先生と今日再会を果たした。それもそのはずで、長崎大学で開催中の代数的組合せ論シンポジウム中日の最終講演者がKZ先生なのである。 体調不良で午前の講演...

1分小説 11)「上海バス」( 646字、AI補正無し )

まだ六月だというのに、午前中だというのに、気温はぐんぐん上がり30度を超えている。石澤満男は自宅の縁側に座り、ただ中空を見つめている。三月末に希望退職して以来、ずっとそんな調子だ。満男は熱中症寸前までこの暑さと湿気にその身を委ねるつもりでいた。 満男は30年前に思いを馳せる。「あの頃、俺は上海にいた。赴任したばかりで土地勘がなく、営業先を周るのに苦労が絶えなかった。あの時も今日のような蒸し暑い日だった」 30年前の上海は大規模な百貨店が林立する通りの裏に洗濯物を干す貧民街が立ち並ぶというような混沌に満ちていた。満男は営業先でもらった情報に従ってバスに乗った。そのバスは冷房がなく、窓は全開だが、渋滞で速度が出ず風が吹くことがない。ねっとりとした逃れようがない都市熱が押し寄せてくるバスの中にいるのは不快そのものだ。加えて、新たな乗客が乗ってきて、日本の満員電車のような高密度になり、体臭と化粧の臭いが混じり合う最悪とも言える状況になった。満男自身も脇汗と背中汗が噴き出し、不快指数の上昇に一役かっていた。 「目的地まで半分も来てない。一体、いつまで耐えればいいのか?」と我慢の限界に達した時、風鈴の音色が聞こえた。いや、それは風鈴ではなく、おそらくは十代の少女の歌声だった。中国にそのような文化があるのか定かでないが、少なくとも満男はその高音の旋律に涼風を感じ、歌声がダイアモンドダストに変わりその気化熱で車内が冷却されると感じた。 信号待ちしていたバスは再び走り出す。少女の歌も終わる。拍手は誰からも起こらなかった。 満男は一時間以上縁側に座っている。見兼ねた妻が冷凍庫に入れて冷やしたタオルを満男の首に掛け、レモネードが載ったお盆を縁側に置いた。 満男は「谢谢」と言った。

日本対チュニジア

 北中米ワールドカップの日本対チュニジアの試合を観戦した。以下はその感想だ。 1)まるで強豪国のような試合運びだった。もちろん日本のことだ。以前であれば、「ハレの舞台を一瞬でも無駄にしたくない」という感じでシャカリキになって走っていたが、今日の試合では、無駄走りすることもなく、休むべきときは歩き、攻めさせて逆襲を狙い、その狙い通りに点を取り、相手に絶望感を与え、零封で試合を終え、ワールドカップという大舞台で日本の歴代得失点差の4対0を叩き出すなんて、文句の付けようがないパーフェクトゲームだった。 2)伊東が輝いていた。オランダ戦でも活躍したし、ワールドカップ後はビッグクラブに移籍しているかもしれない。3点目の相手守備を背中でブロックして冷静に流し込んだゴールには痺れた。上田もオランダリーグ得点王の実力を示した。ワールドカップでのゴールは世界中で何億回も再生される特別なものだと思う。4点目をアシストした佐野の走力も見事だった。1点目の中村のアシストもまた然り。鎌田のヒールシュートは意図的だったっぽい。攻撃陣は絶好調だ。とても怪我人が続出しているチームとは思えない。 3)オランダ対スウェーデンの試合が5対1と知って驚いた。スウェーデンと言ったらかつてはイブラヒモビッチがいた欧州の中堅国なのに、その国に大差で勝ってしまうオランダの強さは底知れない。ブラジルやモロッコもオランダは避けたいと思うだろうな。日本は3位以上が確定しているし、勝ち点4は決勝トーナメント進出の安全圏なので、次戦に負けてもメキシコと当たるから、メンバー総入れ替えで臨むのもありかもしれない。無理して2位以内を狙っても次はブラジルかモロッコなので頑張り甲斐が全くない。 4)冨安と板倉が元気そうなので安心した。そうするとオランダ戦で谷口と渡辺が先発だった理由が気になる。森保監督はどちらがベストだと考えているのだろうか? 4)堂安は守備で頑張っていた。伊藤も体を張ってロングボールを跳ね返していた。GKの鈴木、DFの鈴木、MFの鈴木、これからの代表の中核になるかもしれない。とにかく、出場した全員が良かった。 後記)3位通過の場合、メキシコと当たるかもしれないが、他の組の1位通過国との対戦もあり得る。ブラジルはビニシウスがヤバすぎる。本気のブラジルに勝てるとは思えない。2位通過は避けた方が賢明。

遅れた追悼文

 昨年、小関道夫先生が他界された。何度もお会いして自宅にも招かれたのに訃報を知ったのはつい最近のことだった。追悼のための研究集会も開催されたが、 https://sites.google.com/view/alcom2026 機を逃した感から何の追悼文も残せなかった。 俺が学生だった時、場所は忘れたが日本のどこかで研究集会もしくは談話会があった。道案内をした記憶がかすかにあるのでその場所は福岡かもしれない。初日の行事終了後、来客全員引き連れて夕食の案内をするのが通例だった。中心街で飲み食いし、ほろ酔い気分で二次会の店に移動中、学生と教員合わせて十数名の数学者の集団はぽん引きに出くわす。ぽん引きとは路上で「一時間二千円ポッキリ」などとセールストークで店に連れ込む人たちのことだ。数学者はそんなセールストークを鵜呑みにする人種ではない。誰もが無視して通り過ぎようとする。俺もあんまりしつこい場合は代表して毅然と断る心の準備をしていた。「大体、キャバクラとか行くわけないだろ。相手を見て声掛けしろよ」と思っていたら、小関先生がそのぽん引きに「僕はもう枯れちゃったからねえ」と微笑みながら言った。それを聞いた瞬間、「なんて粋な切り返しなんだ!と驚愕した。俺は決して交わることのない対極の位置にいる人種という偏見を抱いていたが、小関先生にとってはぽん引きも数学者も同じなのだ。そんな博愛的目線が自然に出るところが皆から慕われる理由なのだ。 小関先生が亡くなって最も悲しんでいるのは小関夫人に他ならない。俺の妻は、台湾での中華グルメツアーに同行したり、名前入りの集合写真をもらったり、パウンドケーキのレシピを教えてもらったり、俺がALSに罹患したとき電話で励まされたり、小関夫人と交流してきた。俺も小関先生の自宅に招かれ、小関夫人の手料理フルコースをご馳走になった。そのどれもが美味しくて、いつかまた食べたい、あるいは妻の手料理でもてなしたいと思っていた。前者は叶わぬ夢となったが、後者は条件が整えば可能だ。なんとかして小関夫人を元気付けたい。それが小関先生の供養になると信じたい。 小関先生、だいぶ遅くなりましたが、この場を借りて追悼させてください。今まで本当にありがとうございました。小関先生の背中から色んなことを学びました。今はただ安らかにお眠りください。

アルゼンチン対アルジェリア

 北中米ワールドカップのアルゼンチン対アルジェリアの試合を観戦した。メッシが出場している。メッシにボールが渡るとそれだけで大歓声が上がる。メッシはサッカー界のレジェンドで、前回のカタール大会での大活躍は忘れられない記憶として人々の心に刻み込まれている。あれで引退してもおかしくない年齢とタイミングなのに、その四年後メッシはワールドカップの舞台に戻ってきた。俺は「名刀の切れ味が垣間見えれば満足だ。動けなくても周りがなんとかしてくれる。メッシがそこにいるだけで幸せな気持ちになる」とパンダを見るつもりで観戦していた。 アルゼンチンのサッカーを一言で表現すると「優雅」が最もぴったりくる。全員が優れた戦術眼と技術を持ち、即興でパスを繋ぐように見えるも俯瞰して見ると実に合理的なパス回しに見えるからだ。対するアルジェリアは自分の無知が恥ずかしくなるほど好感度の高いサッカーをしていた。前線の選手は突破力があり、番狂わせの雰囲気を醸し出していた。 前半にメッシがGKと1対1になり、あっさりネットを揺らした。それはオフサイドだったが、「さすがはメッシ、ゴール前での冷静さは健在だ。年老いても決定力は衰えてない」という認識に変わった。アルジェリアもネットを揺らしたが、これもオフサイドだった。アルゼンチンが押し気味の展開でアルジェリア守備陣の密度が高い場所でメッシへのスルーパスが通る。メッシは左足を一閃、その弾道はかつて憧れ真似しようと思ったものだった。 https://hirasakajuku.blogspot.com/2026/03/3_25.html 普通の選手であれば力んで宇宙開発かGKの正面が関の山だろう。しかし、歓喜の輪の中心にいる男は全盛期と遜色ないシュートを撃つメッシなのだ。俺はパンダ扱いしていた自分の無知を深く恥じた。 後半にメッシは2つのゴールを挙げてハットトリックを達成した。全世界が注目するワールドカップの舞台で弱小国ではない好チームであるアルジェリア相手に、である。全盛期を超える活躍をするメッシから目を離すべからず。